■破壊された街で今を生きる子どもたち
2014年6月、イスラエル国防軍とガザの武装組織・ハマスを中心とする勢力との間で大規模な武力衝突が勃発。ミサイル攻撃や空爆も行われる紛争に進展し、同年8月26日の無期限停戦までにガザ地区での死者は2200人を超えたといわれている。
難民キャンプや病院でも爆発が起こり、子どもたちの命も多く失われ、ガザの街がガレキの山と化す悲惨な紛争となった。そしてもちろん、停戦後もガザの市井の人々の生活はそのまま続いていく。ガザ在住の写真家であるイマッド・ナーセル氏は、破壊されつくした街の中で子どもたちの命が輝く瞬間を収めた写真の数々をInstagramなどで発表している。
人生の中でも最も周囲の愛に包まれてハッピーな体験の連続であるはずの幼少期が戦火で台無しにされるのは、むしろそばで我が子を見守る両親が一番悲痛な思いを味わっているのではないだろうか。
「Twisted Sifter」の記事より
破壊された街の父親はある晴れた日に、子どもたちの笑顔を取り戻そうと幸運にも無傷で残っていた浴槽に水を張り、そこに娘と姪を入れた。荒廃したガレキの街を背景に、嬉々として水遊びを楽しむ子どもたちの“子どもらしい”笑顔の瞬間がナーセルによって切り取られた。この浴槽は空襲に見舞われた家の中の物で唯一無傷で残ったものだということだ。
「Twisted Sifter」の記事より
2人の少年が爆撃で破壊された家で、ガレキを利用したシーソー遊びで笑顔を覗かせる。
「Twisted Sifter」の記事より
屋外に出た少年2人が壁に描かれたゾウの絵の背中に跨って遊んでいる。ちなみにこのウォールペインティングはパレスチナ自治区在住のアーティストによって描かれたものだ。
「Twisted Sifter」の記事より
子どもたちが外に出て、スクラップとなった大型車両の残骸に乗り込んで遊んでいる。
「Twisted Sifter」の記事より
空爆により粉砕された家の敷地で寝そべる男性とその傍に座る子どもの姿。
子どもたちに囲まれたイマッド・ナーセル氏。「Twisted Sifter」の記事より
どこで生まれた子どもであっても、生きているこの今の瞬間を謳歌して楽しむ“権利”はあるはずだ。そしてガザの子どもたちも同じく、どんなに過酷な環境に置かれても今を全力で生きていることがこれらの写真でうかがい知れる。たくましく今を生きる子どもたちの姿に目を奪われるとともに、パレスチナ問題の抜本的解決への道が拓かれることを願うばかりだ。 トカナより
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