2017年8月28日月曜日

白人至上主義者の男、実験的な致死薬注射で死刑執行

米フロリダ州で30年前に起きた人種が動機の2件の殺人事件をめぐって、有罪判決を受けていた白人至上主義者の男に対して24日、新たな致死薬注射の方法で死刑が執行された。

米NPO「死刑情報センター」によると、黒人を殺害した白人に死刑が執行されるのはマーク・エイセイ死刑囚(53)がフロリダ州で初めてだという。

エイセイ死刑囚は1987年に同州ジャクソンビルで起こった2件の殺人について、有罪判決を受けていた。死刑は現地時間24日午後6時22分(日本時間25日午前7時22分)に執行された。

今回初めて新しい混合薬が死刑に使用された。

エイセイ死刑囚は人種差別的な発言をした後、黒人男性のロバート・リー・ブッカーさんとヒスパニック系白人男性のロバート・マクダウルさん(当時26歳)を同じ日の夜に銃殺した、と陪審団は評決を下した。

検察は、死刑囚が女性に変装していたマクダウルさんに買春をしようとしたが、マクダウルさんの性別が分かった後で銃殺したと述べた。

死刑情報センターによると、フロリダ州が1976年に死刑制度を再導入して以来、白人を殺害した罪で20人の黒人男性が死刑を受けている。

死刑囚に対しては、米国の死刑執行で今まで使用されたことがなかった麻酔薬エトミデートが投与され死刑が執行された。不必要な苦しみを引き起こすとの恐れがあったため使用が中止された薬ミダゾラムに代わり、今後エトミデートが投与される。

複数の死刑囚が激しく苦しみながら死亡した様子だったことを受けて、懸念が上がっていた。同州は最終的に今年1月、死刑執行におけるミダゾラムの使用を中止した。

エトミデートは他の2種類の薬、ロクロニウム臭化物と酢酸カリウムと合わせて死刑囚に投与された。

しかし反対した1人の裁判官は、実証されていない混合薬の使用を許可することは憲法の下での死刑囚の基本的権利を脅かし、死刑囚を典型的な実験台として扱っていると警告した。

死刑囚は地元テレビ局「ニュース・フォー・ジャックス」とのインタビューで、人生の残りの期間を刑務所で過ごしたくないと話した。

白人至上主義のタトゥーがあるエイセイ死刑囚は、マクダウルさんの殺害は認めたが、もう1件の殺害は否定した。

死刑囚は「ニュース・フォー・ジャックス」に対し、「お祈りをして、『刑務所はもう十分だ」と言っている。だから、前の扉からでも後ろの扉からでも何とかして刑務所から出たい」と話した。

米国ではここ数年、複数の死刑がずさんな方法で執行され、弁護士たちが、致死薬注射による死刑執行で執行中に痛みをきちんと妨ぐことができていないと主張していた。

今回はフロリダで1年半以上ぶりに死刑が執行されただけでなく、米連邦最高裁が同州の判決方法を違憲だと判断して以来、初めての死刑執行だった。

最高裁は、同州の裁判官たちが死刑宣告の判決をめぐり影響力を持ちすぎていると判断を下していた。

それ以来、同州議会は規則を変え、陪審団が死刑の評決を法廷に提出するためには、全会一致の評決を下さなければならないとした。

ただ新たな法律は、エイセイ死刑囚などの過去の事件には適用されない。  
BBC Newsより

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