2017年5月5日金曜日

タイ・マレーシアと通貨交換協定 麻生財務相が表明

麻生太郎財務相は5日、金融危機などで外貨不足に陥った国の通貨と引き換えに米ドルを供給する通貨交換(スワップ)協定をタイ、マレーシア両国と結ぶと表明した。危機時に円を引き出せる最大4兆円規模の新たな協定の創設も提案した。日本、中国、韓国や東南アジア諸国連合(ASEAN)が緊急時にドルを融通しあう「チェンマイ・イニシアチブ」に加えて、危機への備えを万全にする。

アジア開発銀行(ADB)年次総会にあわせて横浜市で開いた日ASEAN財務相・中央銀行総裁会議で表明した。タイの協定は締結手続きを終え、発効した。2国間のスワップ協定を締結する国はインドネシア、フィリピン、シンガポールに続いて5カ国となる。交換する通貨はタイバーツ、マレーシアリンギと米ドルで、供給枠はタイ、マレーシアともに最大30億ドル(約3400億円)。全額を引き出すには国際通貨基金(IMF)の金融支援が条件となる。

円を引き出せる新たな協定を提案したのは、アジア各国に進出する日本企業が増え、緊急時に円を確保したいというニーズがあるため。あわせて、IMFの支援がなくても引き出せるドルの割合を引き上げる案も示した。各国の反応を踏まえて、個別の協議に入る。

日ASEANの会合に先立ち、日中韓の財務相・中央銀行総裁会議も開いた。採択した共同声明では北朝鮮情勢を念頭に「地政学的な緊張の増大の観点から潜在的な金融の不安定性に対応する」と指摘。「あらゆる形態の保護主義に反対する」と明記した。

今年はアジア各国の通貨が急落したアジア通貨危機から20年の節目の年にあたる。金融市場では米国の利上げをきっかけに新興国から資金が流出するとの見方がくすぶる。日本は危機を防ぐ安全網の枠組みを強化したい考えだ。 日経新聞より

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