2017年5月22日月曜日

核戦争後の地球をシミュレーション

■「核戦争後の地球」シミュレーション
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Popular Science」の記事より

今回、「核戦争後の地球」に関する最新の研究結果が、米国科学者4名からなるチームによって発表された。これは、「限られた地域における核戦争」の後に起こるであろう事態をモデル化したものである。その結果を要約すると、世界的な温度低下(2~3℉)と年間降雨量の9%減少というもので、素人目にはそれほどショッキングには思えない。しかしこの変化は、地球の気温が過去1000年の間で最も低温となることを意味しており、農業の不作と飢饉を起こすのに十分であるというのだ。

では具体的にどんな事が起こるのか、見てみよう。まず、核弾頭100個(1つの核弾頭は米国が広島に落とした原子爆弾と同サイズ)がインド半島上で爆発したとチームは仮定した。

これは、インドとパキスタンの核戦争を想定したためであるが、その理由は、インドとパキスタンは、他国(例えば米国、ロシアや中国)と比較すると、核保有量が比較的少ない。つまり、まず少量の核が地球に与える影響を考えれば、巨大サイズの核の影響も想定できると考えたのだ。では、実際どんなことが起きるのか? 以下にまとめてある。

インドとパキスタンが核戦争を起こした場合

5メガトンの黒いカーボンが、すぐさま大気圏に入る。黒いカーボンは燃焼物質から作られ、地表に到達する前に太陽からの熱を吸収してしまう。その後、一部は雨に混じって降り注ぐ。

1年後、地球表面の温度は華氏2度ほど低下する。さらに5年後には、地球は平均して以前より華氏3度寒くなる。20年後に地球は再び暖かくなるが、それでも核戦争前の平均よりも低温となる。

地球が寒冷化する事により、降雨量が変化する。戦争の5年後、地球上の降雨量は9%減少、26年後には4.5%減少する。

地域にもよるが、核戦争の2~6年後に、穀物の成長時期が年10~40日短くなる。

大気の化学反応が、地球上の生物を紫外線から保護しているオゾン層を侵す。戦争後5年でオゾンは20~25%減少し、10年後にはやや回復するが、それでも8%減少した状態のままとなる。

オゾン層による紫外線の保護が減ると、人間により多くの日焼けを引き起こし、皮膚がんが増える可能性がある。同時に植物の成長を弱め、とうもろこしのような作物のDNAを不安定にする。

「核戦争防止国際医師会議」が発表した2013年の研究結果は、20億人が原爆戦争後に食糧飢饉に陥ると見積もっている。

■人類は核兵器を廃絶できるのか

科学者チームは25年前から、核戦争後に起きる事態を探るため複数の新しい気候モデルを使ってきた。今回の研究は、それら新しい気候モデルの幾つかを結合させたものであるという。

Earth's Future」に掲載された研究内容を読むと、例えば異なる2つの気候モデルは、核戦争後に地球が最も寒くなる年について、やや異なった答えを出している。しかし、どのモデルも核戦争が地球にもたらす影響については合致しており、それは「過酷で長期にわたる」とされている。

これらの悲観的な研究結果を読んで、暗い気分になる人も多いだろう。しかし、それこそが今回の研究の重要なポイントであると科学者チームは語る。彼らはこれを発表する事により、現在地球上にある約1万7千の核兵器を破棄する動機を与えたいと考えているのだ。

今回の研究ではインドとパキスタンが俎上に載せられているが、アメリカ・イギリス・フランス・イスラエル・中国・ロシアも「危険な核保有国」であることに変わりはないし、北朝鮮のような国家でさえ核を保有していると言われている。最も危険な武器と言われる核が、地球上から廃絶される日は来るのだろうか? それとも「地球最後の日」が先に来てしまうのか? 人類の英知に期待したい。
トカナより

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