2017年5月23日火曜日

正恩氏、「飛距離・奇襲性」戦略使い分けで日米威嚇 米韓の防衛戦略「キルチェーン」骨抜きも

■「北極星2」量産指示 「成功、百点満点だ」
北朝鮮の朝鮮中央通信は22日、中距離弾道ミサイル「北極星2」の実戦配備に向けた最終発射実験に「成功」したと報じた。21日夕に内陸部の北倉(プクチャン)から発射されたミサイルは約500キロ飛行し、日本海に落下した。実験に立ち会った金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、北極星2の実戦配備を承認し、量産化を指示した。

北極星2は、日本全土を射程に収めるとされ、日本への脅威がさらに高まった。空母を朝鮮半島近海に展開するなど圧力を加え続けるトランプ米政権に対し、在日米軍基地を狙うミサイルの実戦配備を誇示することで、牽制(けんせい)した形だ。

金委員長は「命中精度が極めて正確で、完全に成功した戦略兵器だ。百点満点だ」と北極星2を評価し、「核戦力の多様化と高度化をさらに進めるべきだ」と述べたという。

朝鮮中央通信によると、北極星2は、無限軌道型の移動式発射台から空中に射出後にエンジンに点火する「コールドローンチ」方式を採用。固体燃料エンジンなどの信頼性に加え、弾頭部に搭載したカメラの映像で姿勢制御の正確さも実証されたと強調した。朝鮮中央テレビは22日、発射の模様とともに、このカメラで撮影したとする地球の映像を放映した。

同通信は、14日に発射した新型中長距離弾道ミサイルと称する「火星12」について、米太平洋軍司令部があるハワイや、アラスカを射程に収めるとも主張した。火星12の射程は4000~6000キロと推定されている。

■米本土と在日基地を射程
北朝鮮が22日、実戦配備に向けた発射実験に成功したと報じた中距離弾道ミサイル「北極星2」は、固体燃料を使い奇襲性に秀でているとされる。14日には、液体燃料を用い、米アラスカも射程に収めるという「火星12」を発射。今後、異なる2つの特性のミサイルを軸に米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を加速させるとみられる。

「われわれの攻撃手段は、米本土とともに在日米軍基地に照準を合わせ、発射の瞬間を待っている」

朝鮮中央通信は20日、論評で日米をこう威嚇した。在日米軍基地を狙う攻撃手段の一つが、射程2000キロ以上とされる北極星2だ。

発射準備に時間のかからない固体燃料を導入。道路以外も走行できる無限軌道型の移動式発射台に搭載して、どこからでも発射でき、発射の兆候をとらえにくい。北朝鮮が「コールドローンチ」に言及したことも注目される。ミサイルを空中に射出した後、エンジンに点火する方式で、発射を探知しにくいとされる。

こうした奇襲性こそが日米韓にとって大きな脅威で、発射の兆候をつかんで拠点を先制攻撃する米韓の防衛戦略「キルチェーン」を骨抜きにしかねない。

これに対し、燃料注入に時間のかかる液体燃料を使っているのが火星12だ。ただ、射程は4000~6000キロに達すると分析され、朝鮮中央通信が22日、「米太平洋軍司令部が巣くうハワイとアラスカを射程に入れている」と主張した。

この火星12に搭載したとみられるのが、北朝鮮が3月に燃焼実験に成功したとする大出力エンジンだ。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、実験の意義を「全世界が間もなく目にすることになるだろう」と誇示した。

この新型エンジンを束ねたり、多段式にしたりすることで、米本土を攻撃できる射程1万キロを超えるICBMへの転用が可能だとみられている。日韓の研究者は「北朝鮮は、技術者らに異なる特性のミサイル開発を競い合わせることで、ハイペースでミサイル開発を深化させている」との見方を示している。 夕刊フジより

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