米トランプ政権は9日、シリア北部の少数民族クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」(SDF)への武器提供を承認したと発表した。過激派組織「イスラム国」(IS)打倒を最優先し、クルド人勢力を敵視するトルコの反対を押し切った。トルコ側では10日、ユルドゥルム首相らが米国の決定を強く批判した。
米メディアによると、自動小銃や小火器、弾薬、装甲車の提供を承認した。トルコのユルドゥルム首相は「米国にもマイナスの結果をもたらす」と語り、シリアを巡る協力に影響すると警告した。チャブシオール外相も「トルコへの脅威となる」と反発した。
エルドアン大統領は16日にも米国でトランプ大統領との初会談に臨む予定。今回の決定が関係悪化を招く恐れがある。
イラクのISの最大拠点、北部モスルはイラク軍による攻略が大詰めを迎えた。米国はISが「首都」と称するシリア北部ラッカの奪還を当面の目標とする。米国防総省は9日の声明で「SDFはラッカを近い将来奪取できる唯一の地上部隊だ」と支援を正当化した。
SDFの主力はシリアのクルド人勢力、民主連合党(PYD)の武装部門。PYDはトルコ国内の分離・独立勢力、クルド労働者党(PKK)の兄弟組織だ。米国は対ISの地上戦力としてPYDを支援してきた。
トルコにとって国境のシリア側で支配地域を広げたPYDは安全保障上の最大の脅威だ。トルコはラッカ奪還作戦からのPYDの排除を要求するが、米国は応じず、水面下で実施してきた武器提供も公に承認した。
エルドアン氏は大統領権限強化を狙った4月の国民投票で勝利したばかり。国内基盤を固めたうえで、米欧中などの主要国を歴訪する外交攻勢に打って出る思惑だったが、メンツは丸潰れだ。
ただ、米国にとって、トルコは同じ北大西洋条約機構(NATO)に加盟する同盟国。シリアの停戦や難民対策など中東の安定への重要な役割を期待しており、慎重に対処しなければならない。
イスタンブールのカディル・ハス大学のアフメット・カスム・ハン准教授は、イラク北部での軍事行動容認など米国がトルコに何らかの埋め合わせ策を提示する可能性があると指摘している。
日経新聞より
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2017年5月11日木曜日
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