米大統領選の世論調査では、ここにきて、民主党のヒラリー・クリントン候補を、共和党のドナルド・トランプ候補が1ポイント差まで追い上げたと報じられた。米連邦捜査局(FBI)がクリントン氏の私用メール問題について捜査を再開することが影響したとみられるが、8日の投開票に影響は出るのだろうか。
米大統領選の予測は、統計モデルを使ったもの、専業分析家によるもの、メディアによるものなど、筆者が把握しているだけで十数種類もある。それらの主要分析を平均したものまで存在するなど実に多様性に富んでいる。それらのすべてにおいて、クリントン氏が優勢で勝利すると予想されている。
大統領選は、全米の各州選挙人538人の過半数である270人を獲得すれば勝利するが、統計モデル分析では、クリントン氏が少なくとも320以上を獲得すると予想されている。
筆者がしばしば参考とするプリンストン大学の予測モデルでは、クリントン氏323人、トランプ氏209人、未定等6人。トランプ氏が現時点より獲得投票率が2%高くなったとしても、クリントン氏294人、トランプ氏215人、未定29人となり、クリントン氏の優位は動かない。逆にクリントン氏の獲得投票率が2%高くなれば、クリントン氏358人、トランプ氏164人、未定16人とクリントン氏が圧勝する。
このとおりならば、夫のクリントン元大統領ほどの圧勝ではないが、オバマ大統領の2期目と同じ程度の勝利になる。
9月末からの3回に及ぶテレビ討論の前には、クリントン氏優勢であったものの、ここまでの差はなかった。しかし、テレビ討論後は、次第に差が開いていった。やはりテレビ討論では、トランプ氏は大統領にふさわしくないと米国民に判断されたようだ。
なお、オハイオ州はしばしば大統領選を決定する州といわれている。勝敗を分けるのは、選挙のたびに民主、共和両党に振れる「スイング・ステート」である。例えば、大票田であるフロリダ、オハイオ、ノースカロライナ各州が最激戦区とされる。
このうち、オハイオ州については、1900年以降の28回の大統領選で同州を制した候補が大統領に当選したケースは26回になる。2回の例外は、1944年の民主党のルーズベルト候補と60年の民主党のケネディ候補だけだ。
今回もオハイオ州は大接戦であり、今のところトランプ氏がクリントン氏を若干リードしている。ただし、仮にクリントン氏がオハイオ州を落としても、前述したように、大統領になる公算は大きい。
こうした分析が正しければ、クリントン氏の勝利だろう。市場も既にそれを織り込んでいるようだ。
安倍晋三首相は9月に訪米した際、クリントン氏と会談をしている。過去の日本の首相で、大統領選挙中に次期大統領になる人物と会談した例は聞かない。どのような話が行われたかは定かではないが、日米安保やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、日露交渉など重要課題の先取り的なものだったのではないか。ここは、安倍外交の隠れたヒットであるといえるだろう。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
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