2018年2月1日木曜日

音もなく韓国を抜け出る企業

最近韓国の電子会社の米国洗濯機工場の建設現況を伝える米国メディアの記事だ。両社とも竣工を繰り上げるために全力を挙げている。トランプ米大統領のセーフガード(緊急輸入制限)措置で関税爆弾を受けることになったためだ。詳しく見れば韓国の新聞記事にはない数字がひとつある。雇用だ。該当企業が韓国では公開していない数字だ。意図的だ。担当者は「やむを得ず出て行かなければならない事情がわからないか」と説明した。

海外に出て行くのは大企業だけの話ではない。中堅鉄鋼メーカーのネクスチールも米国に生産施設を移す。トランプ政権が1年で関税率を8%から46%に引き上げ昨年9月から対米輸出が中断された。結局1年に100億ウォンを稼ぐ会社(2016年基準)が300億ウォンをかけて米ヒューストンに工場を作ることにした。

家電、自動車、鉄鋼に続き石油化学企業も米国に出て行く態勢だ。ヒュービスはタイ企業と合弁で米国に法人を設立すると先月発表した。上半期中に現地工場への投資規模を確定する計画だ。大林(テリム)産業も米国で石油化学団地開発を推進することにした。景気が回復し市場需要が大きくなっている米国を先取りするためだ。ある経済団体関係者は「状況が思ったよりとても深刻に回っている。このままでは繊維会社まで出て行くだろう」と話した。

このように抜け出る雇用がどれだけになるかはわからない。韓国政府は「生まれる」雇用は取りまとめるが「出て行く」雇用は集計しない。企業が工場を米国に移す理由がトランプのためだけだろうか。企業家は「お金がすべてではない」と話す。韓国政府が法人税の最高税率を25%に上げたが、税金を多く出すのは惜しくないと話す。代わりに意欲を折るなと注文する。

端的な例が「とりあえず集まってください」だ。現政権が発足してから企業で政府を相手にする対官担当者がしばしば聞く言葉だという。「何が必要ですか」あるいは「どのようにお手伝いしましょうか」ではない。大統領の現場訪問に備えるという理由で前日いきなり大企業の最高経営責任者(CEO)を呼ぶ。新年懇談会に30分以上遅刻して「最低賃金引き上げの方針にしっかり従ってほしい」という一方的な訓示だけして席を外す閣僚らの行動に企業家は考えを引っ込める。

多くの企業家の間で現政権の別称は「アラソ(自分で判断して、適当に、などの意)」だ。大事な国事には「アラソ」協力し、最低賃金引き上げの余波は「アラソ」吸収し、労働時間短縮という画一的指針も「アラソ」合わせ、米国などの保護貿易主義も「アラソ」避けろという皮肉だ。

企業は商品を作って競争する。顧客が背を向ければ潰れる。政策の顧客は国民と企業だ。企業も政策を選択すべきだ。ところが何の余地もなく政策を強要しておいて「アラソ合わせよ」とするなら企業は背を向けるほかない。その被害はそのまま国民の雇用減少に現れる。中央日報より

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