2018年2月28日水曜日

韓国が日本にTPP命乞い 米国と貿易摩擦、中国にも距離を置かれ

宴の後に待つのは厳しい現実だ。平昌(ピョンチャン)冬季五輪が閉幕した韓国は、安全保障問題を背景にした米国との貿易摩擦や企業の「韓国脱出」、若年層の失業など深刻な経済事情に直面する。中国にも距離を置かれた文在寅(ムン・ジェイン)政権は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を日本に打診するしかなくなっている。

韓国はTPP参加に向け、交渉を主導する日本政府に事務レベルで接触していると産経新聞が報じた。米国を除く11カ国による「TPP11」に乗り遅れれば、アジア太平洋地域の成長を取り込めないとの危機感があるとみられる。

ただ、日本政府はTPP11について「ガラス細工のようなもので、変更することは考えていない」(安倍晋三首相)との立場で、まずはTPP11を発効させた上で、参加国を増やす構えだ。

輸出に依存する韓国の焦りは、米国との関係悪化と無縁ではない。

トランプ政権は1月下旬、韓国製を含む洗濯機や太陽光パネルに対する緊急輸入制限(セーフガード)の発動を決めるなど、韓国経済への圧力を強めた。

2月16日には、米商務省が通商拡大法232条に基づき、輸入された安価な鉄鋼やアルミニウムが「国家安全保障上の脅威」になっているとしてトランプ大統領に輸入制限措置を勧告した。

鉄鋼に関しては3案が示されたが、うち1つは、中国、韓国、ロシアなど12カ国からの輸入品に最低53%の関税を課すというものだった。トランプ氏は4月11日までに判断を下すが、12カ国に米国への鉄鋼輸出量首位のカナダや、日本は含まれておらず、「韓国冷遇」が際立っている。

週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は、こうした米国の措置について「安全保障という要因が加わっている点で、通常の貿易摩擦と異なる深い意味を持つ。トランプ政権は、北朝鮮との関係改善に突っ走る文政権を防衛戦略上、危険な存在だとみなしている」と指摘する。

企業も動き出した。米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の韓国GMが、韓国西部の群山(クンサン)にある工場を5月末までに閉鎖すると発表した。

韓国ではGM本体についても撤退懸念が広がっている。聯合ニュースによると、野党の自由韓国党は2月19日、「コリア・エクソダス(韓国脱出)が始まるという話もある」と文政権を批判した。

金融面でもトランプ政権に振り回されている。米国が金利を引き上げる「出口戦略」を進めていることから、投資資金が韓国など新興国から逆流する懸念がある。韓国が対抗して金利を引き上げた場合、深刻な家計の負債や低迷する内需がさらに悪化しかねない。

韓国の失業率は14年から昨年まで4年連続で悪化している。経済協力開発機構(OECD)加盟国33カ国の平均失業率が改善するなか、若年層の失業率が10%を超える韓国が独り負け状態だ。

文政権は公共部門を中心とした雇用創出を掲げる一方、最低賃金の引き上げも行ったが、民業を圧迫するうえ、新規雇用が減少する事態を招いている。

国際通貨基金(IMF)も年次報告書で「公共部門の雇用の拡大には慎重であるべきだ。さらに最低賃金の引き上げは注意深く行うべきだ」と注文を付けている。

最大の貿易相手国だった中国との関係も、在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備以降、悪化したままだ。

韓国観光公社によると、昨年の韓国の観光収支の赤字は過去最大となった。韓国を訪れた外国人旅行客は前年比22・7%減だったが、中国人観光客が48・3%減と半分近く減っている。

こうしたなか、韓国の若者世代を中心に文政権への不満が高まっていると前出の勝又氏は分析する。

「20~30代の若年層は反北朝鮮が多いうえ、仮想通貨をめぐる政策にも不満が募っている」

韓国経済には平昌並みの寒風が吹きすさんでいる。夕刊フジより

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