2018年2月27日火曜日

約30センチの高解像度、北朝鮮の監視強化へ

政府の情報収集衛星光学6号機を搭載したH2Aロケット38号機が27日午後1時34分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。衛星は予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。正常に機能すれば核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の監視強化に役立つ。
 
光学6号機は、設計上の寿命を超えて運用している4号機の後継となる衛星。デジタルカメラのようなセンサーを搭載し、日中の晴天時に地上を撮影する。

識別可能な物体の大きさを示す解像度は、車の種類が判別できる約30センチとみられ、約60センチとされる4号機の2倍に向上。運用中の5号機とほぼ同じで、高精細画像をより高頻度に撮影できるようになる。開発費は307億円、打ち上げ費用は109億円。

光学衛星の解像度は当初、米国の民間衛星を下回っていたが、5、6号機は同等の水準だ。高性能化は世界的に進んでおり、米偵察衛星の解像度は少なくとも約20センチに達している。

情報収集衛星は光学衛星と、夜間や曇りでも撮影できるレーダー衛星の各2基がそろうと、地上のどこでも1日1回撮影できる本格運用が可能になる。現在は光学2基、レーダー4基の計6基が稼働している。

近年は北朝鮮情勢の緊迫化に伴い、ミサイル関連など北の軍事施設の撮影回数が急増。政府関係者は「最近はフル活用している」と話す。

政府は情勢をより迅速に把握するため光学、レーダー衛星を各4基とし、画像データを中継する衛星2基も含め計10基体制の構築を目指す。時期は未定だが、実現すれば撮影頻度は半日に1回程度に増える。

画像は安全保障上の理由で原則として非公開だが、大規模災害時には画質を落として公開。最近では昨年7月の九州北部豪雨、先月に噴火した草津白根山の画像が公開された。

H2Aは32回連続の打ち上げ成功となり、成功率は97・3%に向上した。

■情報収集衛星 内閣衛星情報センターが運用する監視衛星。平成10年の北朝鮮による弾道ミサイル「テポドン1号」発射を契機に導入された。デジタルカメラで撮影する光学衛星と、電波を使うレーダー衛星で構成。地球を南北に回る高度400~600キロの極軌道を周回し、地球の自転により世界全域を撮影できる。設計寿命は5年。東日本大震災では津波浸水域の把握に活用された。産経ニュースより

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