2018年2月24日土曜日

台湾、外相に蔡総統側近 対米シフトで対中融和見直し

台湾独立を志向する民主進歩党(民進党)の蔡英文政権は23日、外交・安全保障分野などの主要閣僚を交代させる人事を発表した。外交部長(外相)には蔡総統の最側近で、米国と太いパイプを持つ呉●(かねへんにりっとう)燮・総統府秘書長を起用する。安全保障の要である対米関係の強化に向けた布陣で、強まる中国の外交攻勢に対抗する狙いがある。
 
26日付で閣僚5人を入れ替える。国防部長(国防相)は馮世寛氏から、安全保障政策の裏方を担う国家安全会議秘書長の厳徳発氏に交代する。同秘書長には現・外交部長の李大維氏が就く。労働部長(労相)なども交代する。

また対中国大陸政策を担当する大陸委員会トップの主任委員は、外交官出身の張小月氏から陳明通・台湾大学教授に交代する。陳氏は民進党籍で、同党の陳水扁政権時代にも大陸委トップを務めた人物だ。

蔡政権は2016年5月の発足時から野党・国民党系の李氏を外相に起用するなど、民進党外の人材を積極的に起用。同党の独立志向を警戒する中国側との緊張が高まるのを回避する意図があった。今回、外相を中国と距離を置く民進党の呉氏に代えた背景には、従来の融和的な対中政策の行き詰まりがある。

中国は最近、習近平(シー・ジンピン)政権下で台湾の外交的孤立に向けた働きかけを強化。台湾を国家承認する国は20にまで減った。中国は台湾周辺での軍の演習も活発化。18年1月には台湾側との事前協議なしで台湾海峡を通る民間機の新航路の運用を始めた。こうした中、中国との摩擦を避けようとする蔡政権の姿勢に民進党支持層から批判が強まっていた。

台湾のシンクタンク、台湾民意教育基金会が1月に実施した民意調査では、蔡氏の施政に「賛成する」と答えた人は31.7%。「賛成しない」とした46.7%を大きく下回った。11月には20年に行われる総統選の行方を占う統一地方選が予定されており、今回の人事には支持層を固め直す意図も透ける。

呉氏は民進党内のまとめ役である秘書長として16年の総統選での蔡氏の勝利を支えた。かつて駐米代表も務めた台湾きっての知米派で、中国に貿易問題などで厳しい姿勢をみせるトランプ政権との関係強化に動くとの見方が多い。

アジアで台頭する中国に警戒を強めるトランプ大統領は主要貿易相手の一つでもある台湾の役割を重視している。大統領に就任前の16年12月には蔡氏と異例の電話協議を実施した。

米下院議会では1月、中国への配慮から実現しなかった米台高官の相互往来を可能にする「台湾旅行法案」が通過し、現在は上院で議論が進む。台湾が米国とさらに接近すれば、米中関係にも影響が及ぶのは必至だ。日経新聞より

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