北朝鮮の参加により、スポーツの祭典と民族の祭典が入り交じった歴史的な平昌五輪が閉幕を迎えようとしている。韓国では自国の選手への熱狂的な応援のほか、日本人選手の活躍は複雑な思いで注目され、称賛もされた。韓国にとって五輪でも、日本は相変わらず特別な存在のようだ。
中継席と観客がひとつに
日本との対戦で韓国が最初に盛り上がったのが、14日の女子アイスホッケー1次リーグ最終戦。韓国は北朝鮮との合同チーム(コリア)を結成したが1対4で日本に敗れた。第1ピリオド早々に2点を日本に先取され、韓国MBCテレビはやや落胆気味に中継していた。だが、第2ピリオドにコリアが1点を返すや、中継席はまるで観客席のような騒ぎとなった。
「歴史的な南北の初ゴールです!」とアナウンサーが叫び、男女の解説者と立ち上がってハイタッチするわ、絶叫するわのはしゃぎよう。この様子はテレビで実況中継。中継席と観客、リンク、視聴者が一体となった。
歴史的なゴールを決めたグリフィンは米国人を父に、韓国人を母にもつ選手。試合後、
「運良く入った」とゴールの瞬間を淡々と振り返っていた。韓国メディアによると、南北初ゴールのパックは記念に保管されるという。
コリアは敗れ、日本に五輪初勝利を許した。しかし、韓国では日本からの初ゴールがクローズアップされた。もし、日本に勝っていたならこれほどの騒ぎでは済まなかっただろう。
日本の失敗は蜜の味?
南北統一チームが初ゴールを決めたことで、韓国では日本に負けたことはさほど問題視されなかった。ただ、韓国は韓国人選手と同じぐらいかそれ以上に日本選手の成績を気にする。その好例が同じ14日に江陵で行われたスピードスケート女子1000メートル決勝だ。
世界記録保持者の小平奈緒(相沢病院)が銀メダルを取ったのだが、決定の瞬間、韓国のテレビ中継は「小平選手が金メダル獲得に失敗しました!」と力を込めた。金メダルはオランダ選手。韓国がからんでいないトップ争いにでもこうだ。韓国メディアにありがちのことだが、まるで韓国人選手の勝利よりも、日本人選手の敗北がうれしいかのような実況中継だった。
安心感さえ伝わってきた現場からの中継は、神聖なスポーツの場でも拭えない日本への複雑な思いや切なさがにじんでいた。
日の丸掲揚は見たくない
17日、江陵で行われたフィギュアスケート男子フリーでは、羽生結弦(ANA)がソチ五輪に続き金メダルを獲得。圧巻の演技は韓国でもたたえられ、にわか羽生ファンも生まれた。
競技以外で羽生が注目されたのは、演技の後、観客席からリンクに投げ込まれるくまのプーさんのぬいぐるみの多さ。「あんなに多くのぬいぐるみを羽生選手はどうするのか」と韓国では不思議がられていた。羽生が常にぬいぐるみを競技開催地に寄贈するということがその後、当地では報じられ、そのさわやかさと好青年ぶりが好感を持たれていた。
一方で、また韓国らしい反応もあった。韓国は前日が旧正月に当たり、羽生の金メダル獲得は旧正月の連休のさなか。ネットには「正月に日の丸が掲揚されるのは見たくない」「日本の国歌を聴かされるのか」といった民族感情むき出しの書き込みも見られた。
忘れたいことは、さっさと忘れ
五輪での日韓対決のクライマックスは同日夜のスピードスケート女子500メートル決勝。小平が念願の金メダルを獲得、韓国の李相花(イ・サンファ)は五輪3連覇を阻まれ、銀メダルに終わった。
韓国のテレビでは「小平選手はこれまで李相花選手を目標にしてきました」などとしきりに李相花を持ち上げていたが、ここでは競技後の小平の李相花への配慮が注目、称賛された。
両選手の心温まる話も束の間。20日のメダル授与式の様子は、韓国のテレビ2局で他の競技の間にはさまれる形で、小平へのメダル授与シーンを省き李相花のメダル授与の様子が中継された。日の丸掲揚や君が代斉奏は報じられなかった。
その後は何もなかったかのように、ショートトラックなどの種目に中継は変わり、関心は移った。
結局は日本を称賛
日本にケチをつけたかろうが、面白くなかろうが、韓国が結局、日本を認めざるを得ない決定的なことが21日夜にあった。スピードスケート女子の追い抜きだ。韓国メディアは金を獲得した日本のチームプレー、組織力の徹底ぶりをしきりに評価していた。日本の努力はもちろんだが、背景には数日前の韓国女子チームの敗北があった。
韓国チームは追い抜きの予選で、1人の選手が他の2人に大きく遅れた。選手の1人によるチームワークを無視したような“問題発言”もあり、韓国では監督や選手らが、猛バッシングを受けた。「日本は組織力が徹底している。それに比べて韓国は」といった自国チームの不満や批判はしばらく続いた。
スポーツでも日本が気になり、負けたくはない。でも、選手の競技姿勢やマナーを目のあたりにすれば、日本を認めざるを得ない。韓国で初めて開催された冬季五輪は、相変わらずの韓国の対日観を見せてくれた。産経ニュースより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2018年2月25日日曜日
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