高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の問題に関して韓中が31日まとめた「韓中関係改善関連両国間協議結果」は今後、韓国が強大国との対立発生をどのように解決していくのかを見せる先例になる。専門家らは発表から抜けた内容にさらに注目した。
(1)中国報復、韓国被害の言及なし=発表文に中国の不当なTHAAD報復やこれによる韓国の被害が言及されなかった。中国側は公式に政府レベルで経済報復をしているという事実を認めたことがなかったが、青瓦台(チョンワデ、大統領府)関係者は「今後のための苦肉の策だったと理解してほしい」と話した。
建国(コングク)大学中国研究院のハン・インヒ院長は「これまでのしこりをこの程度の水準で解決したのは肯定的だが、THAAD報復に対する表現がないのは韓国としては残念な部分」とし「中国は大国が寛容を施すという意味で認識しているようだが、両国間非対称関係があるわけ」と指摘した。
発表文に中国側が立場を「再び明言した(立場や真理を再び表わして明らかにする)」という表現が入ったのも中国のそのような認識が反映されたという分析だ。外交交渉の結果では普通「再確認した」と書く。成均館(ソンギュングァン)大学成均中国研究所のイ・ヒオク所長は「改善のモメンタムを探したのは評価できるが、韓中関係が過去に回帰する単なる正常化でなく、新しい節目を作る必要がある」と話した。
(2)THAAD配備決定の理由欠落=発表文には当初、韓国がTHAAD配備を決めざるを得なかった根拠に関する説明もない。「その本来の配備目的に従い」としか書かれていない。韓国は「THAAD配備が北核能力の高度化による自衛的選択であり、主権的決定事項」という政府の既存の立場さえ反映しなかった。一方、中国が自国の国家安保を守るためにTHAADを反対するという内容は入った。高麗(コリョ)大学中国研究センターのイ・ジョンナム・センター長は「中国が浮上して北東アジア地域の秩序が改められるはずだが、今中国に韓国の立場をどのように認識させるかによって今後の韓中関係が決定されるという点を念頭に置かなければならない」と話した。
(3)「その間の韓国の立場」は何?=中国は発表文でTHAAD反対の立場を示し、「韓国側が表明した立場に留意した」と明らかにした。だが、発表文には韓国が表明した立場が何も入っていない。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が前日、国会で明らかにした3つの立場〔▼韓国が米国のMD(ミサイル防衛)体系に参加しない▼THAADの追加配備を検討しない▼韓日米安保協力が軍事同盟には発展しない〕になるという分析が出ている。これを受け、国立外交院のキム・ハングォン教授は「韓国のMD参加などを希望した米国に発表文に出た韓国の立場をよく説明し、今後の韓米同盟に亀裂が生じないようにするのが大事だ」と話した。韓国外大国際地域大学院のカン・ジュニョン教授は「発表文が全般的に中国の立場は詳細で、韓国は受動的な立場のような感じ」と話した。
野党では酷評があふれた。自由韓国党の姜孝祥(カン・ヒョサン)報道官は論評を通じて「(発表文が)次官補級名義で発表され、地味な内容ばかり」とし「中国の幼稚なTHAAD報復に対して最低限の遺憾表明は引き出すべきだったが、安保を明け渡して得た妥協に過ぎない」と批判した。正しい政党の全芝命(チョン・ジミョン)報道官も「中身がない。空っぽの屈辱外交」と主張した。国民の党のイ・ヘンジャ報道官は「意味はあるが、その場凌ぎの対策」と評価した。 中央日報より
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2017年11月1日水曜日
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