ほぼ同時に、中国側が北朝鮮への航空便を停止し、中朝国境にある中朝友誼橋の通行もストップした。専門家は、中朝関係のさらなる冷え込みを示唆させるものであり、習主席が今後北朝鮮金政権との決別を選ぶ可能性が高いとの見方を示した。
中国側の特使を務めた宋濤・中国共産党中央対外連絡部長が17~20日の日程を終え、北朝鮮から中国に戻った。その2日後、中国国際航空(エア・チャイナ)は、「需要低迷」として、北京と北朝鮮・平壌を結ぶ航空便の運航を無期限に停止したと発表した。
また、中国外交部は24日、遼寧省丹東市と北朝鮮の新義州市を結ぶ「中朝友誼橋」を修復するため、近く臨時的に閉鎖すると公表した。
中国当局が北朝鮮に通じる陸・空のルートを閉鎖するという、異例の対応になった。
「中国当局は、北朝鮮に対してつい本格的に制裁に踏み切った」と、在米中国時事評論家の陳破空氏が語った。
丹東市は中朝貿易の7割を担っており、そのほとんどは中朝友誼橋を通じてトラックで北朝鮮に運ばれる。国際社会から経済制裁を受けている北朝鮮金政権にとってこの橋での物流は死活問題につながり、非常に重要だ。
「このため金正恩氏が中国との貿易ルートを封鎖したと考えにくい。中国側が決定した可能性が非常に高い」。
中国特使との面会を2回も拒んだ金政権
宋濤氏は北朝鮮滞在中、金政権でナンバー2の崔竜海・朝鮮労働党副委員長と会談をしたが、金正恩氏本人と面会しなかった。
「宋氏の訪朝を通じて、習近平氏は金正恩氏に対して、核開発の放棄を説得しようとしただろう。しかし、北朝鮮側はこれを避けていた。しかも、金正恩氏が以前の慣例を破って、中国特使の宋濤氏と会うことを拒否した」。
実際、習近平氏は10月中旬に開幕した党大会に先立って、もう一人の特使を北朝鮮に派遣したが、北朝鮮側が特使の入国を拒否した。米紙・ニューヨークタイムズが10月12日、北朝鮮が中国の孔鉉佑朝鮮半島問題特別代表兼外務次官補の訪朝を断ったと報道した。
同紙のコラムニストのニコラス・クリストフ氏は10月上旬に北朝鮮に入り、5日間の現地調査を行ったとみられる。同氏は当局の担当者が「中国側が何を話したいのかがわかっているから」と特使の入国を拒否した理由を述べたという。
こうした中国側の働きが失敗したため、習近平氏が北朝鮮への経済制裁を強化すると決心したと陳破空氏が推測した。
金正恩氏が軍当局粛清、「第2のジンバブエ」を警戒
一方、中国特使の宋濤氏が帰国した同日、北朝鮮では、金正恩氏の最側近の黄炳瑞・朝鮮人民軍総政治局長と、金元弘・同総政治局第一副局長が処罰されたことが明らかになった。韓国メディアなどによると、朝鮮人民軍総政治局において20年ぶりの粛清だとみられる。
黄炳瑞氏は、朝鮮労働党内において、崔竜海氏に次ぐナンバー3の人物だ。金元弘氏は北朝鮮の情報機関や国家安全を担当する高官だ。両氏は、金正恩政権の安定化に貢献していた。
陳破空氏は、中国特使が北朝鮮から離れた直後に、金正恩氏が軍部に粛清を始めたことは、中国当局と何らかの関係があると分析する。「黄炳瑞氏と金元弘が、金正恩委員長に中国側の説得に応じるよう勧めたのでは」。
中国特使が訪朝する直前に、同じく中国と深い関係にあるアフリカのジンバブエで軍当局が蜂起し、ムガベ大統領の退任を迫った。中国当局がジンバブエ国軍にバックアップをしたとみられる。
「この状況をみた金正恩氏は、中国側の支援を受けて軍がクーデターを起こさないかに警戒しているはずだ」と陳氏が指摘した。
「中国習近平当局は金正恩氏に代わって、より中国共産党に服従する人を北朝鮮のトップにしたかった。これが原因で、習近平政権に近い関係にあった、金委員長の義理の叔父である張成沢氏と異母兄の金正男氏は相次いで金正恩氏に粛清された。金正恩氏が2人目の『ムガベ大統領』にならないよう、親中派を徹底的に排除していくだろう」。
習近平主席、金正恩委員長を処罰するか
中国の特使が帰国した同日、米トランプ政権は北朝鮮を「テロ支援国家」と再指定した。米政府は、北朝鮮の核開発に参与したとみられる中国などの企業13社に対して経済制裁を発表した。中国側はそれに続けて、米国に歩み寄ったかのように、北朝鮮への陸・空のルートを閉鎖した。
陳破空氏は今後中朝関係が一段と悪化するとの見方を示した。「習近平氏は遅かれ早かれ金正恩氏に対抗姿勢を示す」と述べた。
米中両国や関係各国は、朝鮮半島問題を一日も早く解決しようとしている。現在、この問題を解くカギは金正恩氏本人だ。習近平氏は、金正恩氏に対抗していくにはすでに3つの条件が揃えていると、陳氏が指摘した。
まず、中国国内では、党大会後の習近平氏は党内においてさらなる権力集中ができたことにある。現在、習近平氏が政策を制定する際、他派閥の長老や高官から受ける影響がなくなったと言える。
2つ目には、習氏はトランプ米大統領に対して借りを返さないといけないことを挙げられる。
「今年4月習氏が訪米中、米中貿易問題や北朝鮮問題について、『10月の党大会で権力集中ができた後に解決していくから、時間をくれ』とトランプ氏に示唆した」「トランプ氏はそれに理解を示した。10月中旬に開幕した党大会期間中、米は原子力空母ロナルド・レーガンなどを朝鮮半島海域付近に派遣し、北朝鮮が挑発行為を起さないようにけん制した」との背景があった。
3つ目は、「習氏のメンツに関わる」と陳氏が話した。
過去5年間、習近平氏は党内権力闘争において勝利して続けた。しかし、北朝鮮の金正恩政権への対応においては、「劣勢」が続いている。
今年に入ってから、中国で相次いで開催された「一帯一路」国際フォーラムや新興5カ国会議(BRICS)首脳会議などに合わせて、北朝鮮がミサイル発射実験を強行した。習近平氏の顔に泥を塗った。
「中国は世界大国だと自負している習近平国家主席にとって、大きな恥となったに違いない」。陳破空氏は、習近平氏は今後、金正恩氏に対して本格的な対抗姿勢を示し成敗していくとの見解を示した。大紀元日本より
0 件のコメント:
コメントを投稿