2017年11月28日火曜日

北困窮、危険な漁強いる 制裁で食糧難、漁民ら犠牲

冬場の悪天候にもかかわらず集中的な漁を強いる当局の方針により、北朝鮮漁船の遭難事故が続いている。一方、板門店で銃撃を受けた韓国に亡命した北朝鮮兵士の手術では、内臓からわずかなトウモロコシ片が見つかるなど北朝鮮の栄養状態の劣悪さが証明された。「冬季漁獲戦闘」と称した食糧確保の背景には、慢性的な食糧不足に加え、国連など国際社会の対北制裁による北朝鮮経済の一層の逼迫(ひっぱく)がありそうだ。
 
国策として北朝鮮は、10月の時点で冬の積極的な漁を奨励。朝鮮労働党機関紙、労働新聞(7日付)は社説で、冬場の漁業期の始まりに合わせ、「社会主義の海の香りが全国にあふれるようにすべきだ」と漁業での成果を挙げるよう呼びかけていた。

民主朝鮮(10月14日付)は、内閣拡大総会(日時不明)で「水産省をはじめ当該の各省・中央機関と各道人民委員会が漁船の稼働率を高め先進技術を積極的に導入し『冬季漁獲戦闘』の準備をぬかりなく整える」ことが重要議題として討議されたことを報じていた。

外貨獲得も狙い北朝鮮は水産業に力を注いでいたが、核・ミサイルの開発に対する国連の経済制裁により、海産物も今や制裁対象に含まれている。中国への海産物輸出は8月以降、全面禁輸となった。中国の税関の発表によると、10月の対中国輸出額は9000万ドル(約98億円)で前年同月比で62%減少している。

対中禁輸により、住民生活のさらなる困窮化は避けられないと北朝鮮当局は判断し、食糧確保に向け真冬の漁業にもハッパをかけているとみられる。

北朝鮮では秋の収穫が終わり、冬の蓄えは確保しているもようだ。イカやスケトウダラなど日本海で捕れる海産物は乾燥できることから、住民の貴重なタンパク源で保存食にもなる。

ただし、「黄金の海の歴史を輝かせていくべきだ」という党の意志は現実問題に直面。「漁船の稼働率向上」を叫び「独自で造った船も参加」(北朝鮮メディア)しているが、北朝鮮漁船の多くは一連の漂流事故が示すように相当、老朽化が進んでいる。制裁下で船の燃料も豊富ではない。

「不利な条件にあっても冬季漁労で革新を起こしている」(同)という漁民らは結局、金正恩政権の方針の犠牲となっているわけだ。冬が本格化するなか、「冬季漁獲戦闘」による犠牲者は絶えそうにない。infoseek newsより

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