北朝鮮が拉致認めたのは、やっぱりお金なんだ

大韓航空機爆破テロの実行犯、金賢姫（キム・ヒョンヒ）元工作員とのインタビューの主な内容は以下の通り。
　　　　　　　　　　
大韓航空機爆破事件から３０年ですが、長かったですか

「そうですね。長いでしょう。３０年がただ楽しい歳月ではなかったですから。半分は苦難の道でした。（ソウルの）家から追い出され、不便なところで、子供を育てながら生活してきた。厳しい生活でした。長く、３０年間は長いんだなと思いました」

大韓航空機爆破を指示した金正日（ジョンイル）については
　
「金正日は爆破事件については認めていませんが、拉致問題は認めました。今まで認めたことがないので、認めたのが本当に不思議なことだと」
「やっぱり、北朝鮮もお金なんだと思います。（経済支援名目の）お金のために小泉（純一郎）首相に認めたが、かえって（日本の）反発があってうまくできなかった」

田口八重子さんと横田めぐみさんの生存を認めなかったのはなぜか

「北朝鮮で公開したくない、公開しては困る、そういう情報と何か秘密を知っているから、帰さないために、死んだと言うんです」

「（個人的に得た）情報から私も（めぐみさんは）『生きている』と確認しています」

「結局、一番、北朝鮮で公開したくない部分が神格化された金日成（イルソン）の家族についてです。一切、公開されていない。（一般人は）金正日の子供が誰なのかも知らないぐらいです」

秘密というのは金日日一家について

「それが一番だと思います。それに関連したことを知っているから。次が工作機関による大韓航空機爆破事件とか、いろいろな関連があると思います」

金正恩はとても残忍

北朝鮮で金正恩（ジョンウン）朝鮮労働党委員長の叔父、張成沢（チャン・ソンテク）氏が処刑され、異母兄の金正男（ジョンナム）氏が殺害された

「私もショックでした。特に金正男氏の暗殺事件は。金日成の血統が殺されることは想像もできなかった。原則が破られてしまった。親戚も兄弟も容赦ないとの意味ですから。金正恩はやはり、とても残忍な性格です」

「方法も工作機関は背後にいて、第三国の女性たちを利用した。国際的に禁止されている化学兵器ＶＸを使っている。卑劣な方法だと思います。（私がいた時代は）秘密が暴露されたら、毒薬で自殺しなさいと、そう言われていた」

なぜ、兄まで殺害したのか

「やはり、兄ですから、権力の競争相手ですから、信じられない。秘密資金を持つのが許されるのは、金正恩だけだ。だから（資金も持つ正男氏を）言うことを聞かないと、暗殺したのではないでしょうか」

金正男氏の事件が起きて警備は厳重になった？

「ええ、なりました。（事件直後）当時はものすごかった。警備の人が増えて外出するのも（難しかった）。特に事件では化学兵器を使用したから、それを警戒して」

禁止の韓国ドラマ、みんな見てる

南北軍事境界線がある板門店（パンムンジョム）で北朝鮮の若い兵士が亡命した事件があった

「勇気がある兵士だと思いました。板門店の軍人はエリートで国内の（他の）軍人よりはましな生活をしているが、兵士は自由な社会に憧れて（亡命し）、生死の瀬戸際に立たされた」
兵士は爆破テロ事件後に生まれた世代だ

「私の時代は配給もあり、金日成と金正日に忠誠心もありました。食べさせてくれるから忠誠心もあって統制もできた。今は、国家でやってくれるものが全然ないから国家への忠誠心も弱くなったんでしょう」

「中国からも情報が入ってくるようになって、韓国のドラマや歌をいくら禁止しても皆、隠れて見ている。見ない人がいないぐらい。それも影響が大きい。今回の兵士は、若者だから、もっとそうなんです」

流入した情報や市場での売買の広がりで北朝鮮は変わっていくと思うか

「表は社会主義で人民たちを統制しますが、金正恩は統制しにくい。（金日成時代と）独裁は同じだけど、生活は資本主義になっているというか、商売で動いています」

そうした中で、金正恩委員長は、核・ミサイル開発を進めている。なぜ核にこだわるのか

「金正恩は（経済的に）何も生産できず、何も持っているものがない。今まで力を入れてやってきた核兵器生産がもう完成段階に来ている。完成させ、それを武器に米国と交渉しようとする。交渉して平和協定を結んで在韓米軍は韓国から出ていきなさいと言う」

「次は、南朝鮮（韓国）での革命、（社会主義体制へ）赤化統一させるのが最終の目的なんです。（私が北朝鮮にいたときから）一度も変わったことがない。その目的のためにずっと走っているんです。今は核を完成させる段階ですから、もっと力がついてきた。露骨にやっていますよね」

拉致被害者家族にメッセージは

「歳月が過ぎ、年を取って体が悪くなり、私も心配です。でも、北におられる拉致被害者たちも、家族と会う日を希望にして、つらいことがあっても待っていると思います。本当に彼らが帰って来る日までお体を大事にすることが大切。北朝鮮は今、国際的に制裁を受け、いつどうなるか分からない。ぜひ希望の糸を離さないで、お体を大事にしてください」産経ニュースより