2017年11月28日火曜日

北テロ支援国家再指定の意味、トランプ氏はオバマ氏との違い強調

トランプ米大統領は20日、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定することを決めた。再指定の背景や影響、今後の米国の動きについて考えてみたい。
 
米国は、北朝鮮工作員が関与した大韓航空機爆破事件後の1988年1月に北朝鮮をテロ支援国家に指定した。2008年には、当時のブッシュ政権が北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の合意に基づき指定を解除した。当時、日本政府は解除に強く反対した経緯がある。

今回、北朝鮮に1年以上拘束された米国人大学生が、今年6月に解放された直後に死亡したことや、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の兄の金正男(ジョンナム)氏が今年2月にマレーシア国際空港で殺害されたため、米議会などから再指定を求める声があった。

今回の決定で米国がテロ支援国家と位置づける国は北朝鮮、シリア、イラン、スーダンの4カ国となった。

このタイミングには意味がある。トランプ氏の訪中の直後、中国は北朝鮮に特使を送っており、米国はその成果を見定めた上で再指定を決めた。トランプ氏は、訪中の後で、特使の働きを見守るとツイッターで書いていた。

しかし、中国の特使は一定の露払いの役割は果たしたのであろうが、トランプ氏の期待にはほど遠かったというわけだ。実際、特使は正恩氏とは直接会っていないといわれている。

トランプ氏は訪中で習近平国家主席に懐柔され、北朝鮮に対する強硬姿勢が弱まったという観測も出ていたが、今回の再指定で、トランプ氏の意思は固かったことを示した。

オバマ前政権では北朝鮮の核実験を受けてテロ支援国家に指定することを検討したが、見送っていた。今回の措置は、トランプ氏はオバマ氏とは違うということを世界に宣言したものだといえる。

アジア歴訪の後で、その総括をしたことで、トランプ氏はオバマ氏のような北朝鮮に対する「戦略的忍耐政策」は取らないということを示した。いかに中国が米国をなだめようとも、それは変わらないということも印象付けた。これは、対北圧力で米国と同調する日本を見捨てないということも意味する。

早速、安倍晋三首相が歓迎し、支持することを表明した。当然である。

筆者は、これまでの本コラムにおいて、国連による制裁決議の回数などから、国連軍か多国籍軍による軍事オプションが既にカウントダウンに入っていると書いてきた。もちろん、これは朝鮮半島の非核化に向けて北朝鮮を交渉に引きずり出すための戦略であり、決して武力行使を望むものではない。

今回のトランプ氏のアジア歴訪は、こうした戦略を再確認するためだと思っていたが、やはり最後に、北朝鮮をテロ支援国家に再指定した。いまでもカウントダウンは止まっていないのだろう。

はたして北朝鮮はどう出るか。結果的に朝鮮半島の非核化が進むことが望ましい。
夕刊フジより

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