2017年11月29日水曜日

経済制裁受け無謀な漁、武装難民による原発テロも現実味

日本海沿岸で、北朝鮮籍とみられる木造船の漂着・漂流が続いている。今月に入り、少なくとも15件確認された。国際社会による経済制裁を受けて、悪天候下での無謀な漁を繰り返しているとみられる。

ただ、レーダーで探知しにくい木造船の相次ぐ漂着は、日本の湾岸警備の弱点を知らしめた。朝鮮半島有事の「武装難民の襲来」や、「原子力発電所などを狙ったテロの脅威」が現実味を帯びてきている。

北朝鮮関連とみられる木造船の漂着は枚挙にいとまがない。

中でも、秋田県由利本荘市の船舶係留施設に23日深夜、木造船が漂着し、「北朝鮮から来た」と朝鮮語で話す男性8人が保護されたケースは、日本中に衝撃を与えた。海が荒れていたとはいえ、8人が上陸するまで当局が把握していなかったためだ。

8人は早期帰国を望んでおり、亡命や脱北者ではなく、漁の途中で船が故障したとの見方が強まっている。ただ、「物的証拠」といえる木造船は25日朝に消失した。この木造船とみられる船が28日、海底に沈んでいることが分かった。

秋田県の佐竹敬久(のりひさ)知事は27日の記者会見で、県警などの管理態勢を「住民に不安を与え、捜査の機会を逃した」と批判し、続けた。

「本当に漁船なのか。スパイ船なのか。8人だけなのか。しっかりと船を調べないと。調べれば痕跡があるから。地元の漁民の方も言ってたが、移動できるときに移動して証拠の保全をすべきだった」

なぜ、漂着船が相次ぐのか。

北朝鮮情勢に精通する元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏は「北朝鮮の漁民は、朝鮮人民軍に所属している可能性が高い。苛酷な冬の日本海で遭難が予想できる状況下で、強制的に出漁させられている」と語る。

今月初めの米中首脳会談を受け、中国が「エネルギー供給制限」に乗り出し、漁船の燃料が不足しているとの見方がある。北朝鮮メディアは食糧不足解消に向けた「冬季漁獲戦闘」と報じており、今後も同様のケースは増えるとみられる。

懸念されるのは、海上保安庁などが把握する前に漂着しているケースが少なくないことだ。

軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「木造船はレーダーに写りにくい。海保の巡視船だけでなく、海上自衛隊の哨戒機も含めて、警戒監視態勢を強化しなくてはいけない。

『武装漁民』に日本海側の原発が狙われる可能性もゼロではない。漂着を事後的に把握するようでは、国家の安全保障上、危機的だ」と警鐘を鳴らしている。infoseek newsより

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