北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権が、約2カ月半ぶりに軍事的挑発を再開した。日本時間29日午前3時18分ごろ、弾道ミサイルを発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海に落下させたのだ。高い角度で打ち上げ飛距離を抑える「ロフテッド軌道」だったが、通常軌道で発射すれば飛距離は1万3000キロ以上に達し、首都ワシントンを含む米全土が射程に入るとの分析もある。ドナルド・トランプ米大統領が「北朝鮮はレッドラインを超えた」と判断し、先制攻撃を決断する可能性も出てきた。
北朝鮮は29日未明、首都・平壌(ピョンヤン)近郊の平城(ピョンソン)付近から、弾道ミサイルを発射した。ミサイルは53分間で約1000キロ飛行し、青森県西方約250キロ、日本のEEZ内に落下した。到達高度は過去最高4000キロを上回った。未明の発射は異例で、「ミサイルは3つに分かれた」との情報もある。
北朝鮮のミサイル発射は、北海道上空を通過した9月15日以来で、75日ぶり。日米韓防衛当局は最近、北朝鮮の通信活動が急増したのを捕捉し、発射を警戒していた。
小野寺五典防衛相は29日朝、「ICBMと判断すべき能力だ」「いくつかの形に分かれて落下した」「多段式の弾道ミサイルだった可能性も踏まえ、引き続き分析していく」と述べた。
米国防総省も警戒を強めている。
ワシントン・ポスト紙は28日夕(日本時間29日朝)、同省の「今回のミサイルは計算上、首都ワシントンを射程内にとらえたようだ」との見方を速報した。通常軌道で発射すれば、8100マイル(約1万3000キロ)は飛んだと推測できるとし、「ワシントンは今、金正恩(朝鮮労働党委員長)の手の届く所にある」と伝えた。平壌と、ホワイトハウスがあるワシントンDCの距離は約1万1000キロだ。
北朝鮮は今年、中距離弾道ミサイル「火星12」(射程距離約5000キロ)や、ICBM「火星14」(同1万キロ超)の開発に傾注してきた。ともに2段式だが、北朝鮮国営の朝鮮中央通信社は今年8月、正恩氏が「火星13」(同1万2000キロ超)と称する3段式の弾道ミサイルの横に立っている写真を公開した。
北朝鮮が「米本土に到達可能な核ミサイル」の完成に近づいているのは間違いない。関係各国は素早く動いた。
安倍晋三首相は29日朝、「北朝鮮が、国際社会の一致した『平和的解決への強い意志』を踏みにじり、このような暴挙を行ったことは断じて容認できない。強固な日米同盟のもと、高度の警戒態勢を維持し、国民の命と平和な暮らしを守り抜く」と、官邸で記者団に語った。
その後、安倍首相とトランプ氏は約20分間、日米電話首脳会談を行い、北朝鮮が国際社会で孤立を深めているとの認識で一致。「日米同盟として北朝鮮の脅威を抑止し、対処するための能力強化をさらに進める」との方針を確認した。
国連安全保障理事会も29日午後(同30日早朝)、緊急会合を開き、対応を協議する。日米韓が合同で開催を要請した。
米国と北朝鮮は今年春以降、水面下接触を続けてきたが、北朝鮮は「核・ミサイル開発」の完全放棄に応じていない。
今月初めの米中首脳会談後、中国の習近平国家主席の「特使」が平壌を訪問したが、正恩氏に会えずに帰国した。「特使」は北朝鮮の幹部に対し、「核・ミサイル開発をやめよ」と“最後通告”したとされる。この直後、トランプ氏は、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定している。
北朝鮮を封じ込める軍事的圧力も強める。
米韓両軍は12月4日から8日、朝鮮半島周辺で、史上最大規模の合同軍事演習「ビジラント・エース」を行う。米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22「ラプター」や、同F35A「ライトニングII」など、戦闘機約230機が結集。さらに、米軍からは、空軍と海軍、海兵隊などの兵士約1万2000人が参加する。
トランプ氏は「北朝鮮がレッドラインを超えた」と判断するのか。今後、米朝はどうなるのか。
評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「2カ月半の“沈黙”の間、北朝鮮は『核・ミサイル開発』を進めていた。今回のミサイル発射は『テロ支援国家』に再指定した米国へのメッセージだ」といい、続けた。
「米同時多発テロ事件(2001年)以降、米国は自国の安全保障を高めており、トランプ氏が『米本土への確実な脅威』を前にして黙っているとは思えない。北朝鮮が対米核抑止力の完成に近づくなか、12月には北朝鮮と米国双方に重要な記念日がある。米朝間での軍事衝突を含めた流れになることもあり得る」と分析した。
日米情報当局関係者は「米当局は10月末時点で、『北朝鮮がICBMの実戦配備に不可欠な、大気圏への再突入技術を完成させるのに数カ月かかる』と分析していた。残された時間は少ない。今回のミサイル発射を、米軍がどう分析し、トランプ氏がどう最終判断するかだ。韓国には駐韓米軍家族や米国市民権保持者など20万人以上が居住している。
『クリスマス休暇』に合わせて、大量に脱出し始めたら危ない。最悪の事態も覚悟すべきだ」と語っている。夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年11月30日木曜日
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