2017年11月30日木曜日

北はICBM完成宣言、韓国は米国の先制攻撃を阻止

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15号」を発射した。これまで北朝鮮は75日間にわたり挑発行為をしてこなかったため、韓国政府内部では対話が実現することへの期待も高まっていたが、結局これも無駄だったことが改めて明らかになった。一部では平昌冬季オリンピックをきっかけに韓米合同軍事演習を一時中断することも検討されたようだが、これも一方的な期待だった。北朝鮮は誰が何を言っても核武装を完成させるとする自分たちのスケジュールをただ進めるだけだ。それまでは韓国政府が何を提案し、また何を構想しても北朝鮮の眼中には全く入らないだろう。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこれまで北朝鮮の核・ミサイル問題のレッドラインについて「核兵器を搭載したICBMの完成」と発言してきたが、これは要するに「このラインを超えれば軍事行動を取ることも考えられる」ということだ。ところがこの日、米国と日本はいずれも北朝鮮が発射したミサイルをICBMと明言したが、韓国政府は「長距離弾道ミサイル」「ICBMクラス」としかコメントしなかった。北朝鮮がレッドラインを超えたと認めれば、米国が軍事行動に乗り出す可能性が高まるため、韓国政府は言葉を選んでいるようだ。

文大統領は「北朝鮮が状況判断を誤り、われわれ(韓国)を核で脅迫する、あるいは米国による先制攻撃を念頭に置くべき状況にならないようにしなければならない」とも述べた。この言葉は要するに「現実として北朝鮮による挑発行為は阻止できないので、米国の先制攻撃を阻止すべきだ」という意味になるだろう。そうなれば北朝鮮は心置きなく挑発を続けられるようになる。大統領は北朝鮮の脅威については公の席で非難すべきだが、米国の対応をめぐる議論は非公開の形にすべきだろう。

外交的な方法はすでに失敗し、軍事行動も韓国が反対するのであれば、北朝鮮の核問題は今後二つの方向しかない。まず一つは北朝鮮の核保有を否定しながら、最後まで制裁と圧力を押し通すことだ。昨年韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使は「忍耐を持って制裁を続ければ、いつか結果が出る」との見方を示している。しかし中国がそのように一貫した態度を持ち続ける可能性は低く、また韓国政府もどのような対応に出るか分からないだろう。

もう一つは北朝鮮の核保有を認めた上で交渉が行われる可能性だ。北朝鮮はこの日「核武力完成という歴史的大業、ロケット強国の偉業が実現した」とした上で「世界の平和と安定を守るため、あらゆる努力を傾けていく」とコメントした。これは北朝鮮が今後も自らを核保有国と見なし、対話局面へと乗り出すことを予告したようなものだ。実際に米国のトランプ大統領が考えを変えるだけで局面は大きく変わるだろう。北朝鮮がこれ以上核実験やICBM発射をしないという条件に応じれば、制裁の解除や在韓米軍の撤収などが本当に話し合われるかもしれない。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長はいわゆる「核を手にした上での平和攻勢」により韓国の左翼勢力と連携し、韓国国内で深刻な対立をもたらそうとしてくるかもしれない。

北朝鮮が目標とする「決定的時期」は徐々に近づきつつある。もしかすると数カ月以内にはその時が来るかもしれない。今最も重要なことはいかなる最悪の状況でもぶれることなく韓米同盟に立ち返ることだ。米国が提供する核の傘だけでなく、戦術核兵器の再配備や核兵器共有戦略についても真剣に検討しなければならない。朝鮮日報より

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