2017年5月23日火曜日

香港の最貧民が暮らす“棺桶ハウス”が激狭!

日本のカプセルホテルは一時、欧米人からは「クレージー」とされた。ところが今は、日本の名物と化しており宿泊したがる外国人観光客も多いらしい。しかしカプセルホテルはあくまでも旅行中の話である。もし自分の家が「棺桶」ほどの広さしかなかったら。

香港の大都会にひしめく「棺桶ハウス」

現在、世界で最も家賃の高い場所はシンガポール、その後は順にロンドン、ニューヨーク、香港、東京という順である。そして、その中でもシンガポールと香港の人口密度は群を抜いて高い。また香港は土地が狭い上に、中国人富裕層が不動産買占めに走っており、住宅事情は劣悪だ。香港の賃貸価格は過去5年間で50%も上昇し、今や世界で最も暮らしにくい場所なのである。

そのような状況下、中流以下の香港人はアパートの屋上に違法な小屋を建てたり、「棺桶ハウス」と呼ばれる四畳半くらいの部屋を幾つもに分割した部屋しか借りられないのが現実だ。

写真に示されるように「屋上小屋」や「棺桶ハウス」はトイレや台所は共同、そして小さな二段ベッドしかない。そこに住む老人はゴキブリ、トコジラミ等の害虫に悩み、また脚を伸ばして寝るスペースさえないありさまだ。国連は最近、香港のこの状態を「人間の尊厳への侮辱」と厳しく批判した。

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2人の子供を持つシングルマザーのリ・スエットウェン。6畳一間で家賃は約6万5千円だ 「Daily Mail」の記事より


シングルマザーのリ・スエットウェンさんは、彼女の6歳の息子と8歳になる娘に自分たちがこの6畳の部屋に住んでいる理由を説明するのに苦労している。

リさんはパン屋に勤めており、ケーキの飾り付けの仕事で月に14万円ほどを稼ぐ。しかし、その半分近くが家賃(月額6万5千円)と水道光熱費に費やされてしまう。

子どもたちは学校が休みになると、狭い家でいつも喧嘩をする。母親のリさんは、「子どもたちが大きくなれば、このアパートはもっとひしめき合うわ。今でも時には足を置く余地もないし、宿題をするスペースもないのよ」と言う。

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棺桶ハウスの12人の住人が共有するトイレと洗面所 「Daily Mail」の記事より
 
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ウォン・タッミンさん(63歳)の「棺桶ハウス」。ゴキブリやトコジラミに悩まされている 「Daily Mail」の記事より

ウォン・タッミンさん(63歳)の居住環境はさらに悪い。彼はここ4年間、1カ月の家賃が約3万5千円の「棺桶ハウス」に住んでいる。彼の居住区域は横1メートル×縦2メートルのベッドのみだ。そこには寝袋、小型カラーテレビ、扇風機など最小限の生活必需品が所狭しと詰め込まれており、ウォンさんはそこでたばこを吸う。

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屋上に違法に建てられた小屋に住む子ども 「Daily Mail」の記事より

香港政府によると、香港の人口730万人中、20万人(3万5500人の子どもを含む)は「subdivided units(元の部屋を幾つにも区切って作った住居)」に住んでいるという。ただし、この数字には「棺桶ハウス」や違法な屋上小屋に住む人々は含まれていない。そのため、実際の人数はさらに多いと思われる。

■若いカップルセックスするスペースさえない」
 
一方、旧英国植民地であった香港には山頂に建てられた豪華な邸宅やプール、テニスコート付きの高層マンションに住み、豊かな生活を楽しむ人々も多く存在する。

香港の家賃と住宅価格は急激に上昇しており、現在は過去最高水準に近い。2014年にはそれらの不平等への不満が広がり、「雨傘革命」と呼ばれる若者たちによるデモ活動が激しさを増し、香港の繁華街を何カ月も占拠する事件も起きた。

香港の若者は結婚して共働きをしても、自宅を持つことが不可能な現実に絶望している。「僕らはセックスするスペースさえない」と1人の民主化運動活動家は言う。

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 「Daily Mail」の記事より

筆者はかつて香港に住んでいたが、香港の貧富の差は実に想像を超えるものがある。街には高級ブランド店やショッピングモールがひしめいていて、そこで香港人や中国大陸の富裕層は無造作に百万円単位の買い物をしている。一方そのすぐ裏には、「棺桶ハウス」がぎっしりと詰まった古く汚いビルが立ち並び、道端で用を足す人々も多く、夏には耐え難い臭気を放つ。

香港は長い間英国の植民地であったが、中国に返還後も中流以下の香港人の生活水準は相変わらず低いままなのである。香港の「100万ドルの夜景」は有名で、多くの観光客を魅了するが、そのまばゆいばかりの光には「棺桶ハウス」の灯もまた含まれているのだ。

Hong Kong Cage Homes: People forced to live small 動画は「CCTV English」より
 
トカナより

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