中国共産党の次期最高指導部メンバーが決まる党大会を約半年後に控え、各派閥による権力闘争が白熱化している。そうした中、習指導部にとって恐ろしい人物が現れた。米国亡命中の元実業家、郭文貴氏である。習近平氏が主導する反腐敗キャンペーンでほとんどの財産を失い、中国国内に残った家族も拘束された郭氏は、4月頃から海外の中国語メディアなどの取材に応じ、共産党指導者らのスキャンダルを次々と告発し始めたのである。
英国人設立の民間経済研究所、胡潤研究院が発表した2014年の長者番付で、個人資産155億元(約2500億円)を所有し中国74位の富豪だった郭氏は、数多くの共産党高官と親密な関係にあり、最高指導部の内部事情やその関係者が不正蓄財する手口などを熟知しているという。「(党中央規律検査委員会書記)王岐山のおいが海南航空から巨額の資金を借りて、海外で不動産と証券を買いあさっている」。こうした情報が郭氏の口から次々と発信されている。
一連の証言の中で特に衝撃的だったのは、習氏が数年前から腹心を使って、反腐敗キャンペーンを主導する王氏の経済問題をひそかに調査していることだ。郭氏はその担当者から直接相談を受け、海外にある王氏の親族の資産を調べたことがあるという。この証言が事実なら、同じ太子党グループに属し、盟友といわれる習氏と王氏の親密さは虚構であることを意味する。
1967年、山東省の農村部で生まれた郭氏は中学卒業後、製薬会社などの職業を転々とし、2008年の北京五輪に伴う関連施設の開発などで巨万の富を築いたとされる。
15年、郭氏のビジネスパートナーで親友だった馬建・国家安全省次官が失脚し、捜査の手がまもなく自身に及ぶことを察知した郭氏は米国に逃亡したが、国内に残った財産のほとんどを当局者に奪われたという。「資産を凍結して不正を調べるなら分かるが、私の不動産も証券も次々と事件を担当する高官の親族の名義に変えられた。やり方は強盗そのものだ」。郭氏はこう指摘する。
海外の中国語メディア明鏡や米メディア、VOAなどに出演し、共産党内の不正を暴くことになった理由について、郭氏は「何もしなければ抹殺されるかもしれない」と述べた上で「自分の命、財産を守り、復讐(ふくしゅう)するためだ」と語った。
郭氏の一連の証言に対し中国当局は激しい反応を見せた。国内のインターネットで郭証言を伝えた映像、録音、文字をすべて削除したほか、郭氏がVOAへの出演が決まった直後の4月中旬、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて郭氏の国際逮捕手配書(赤手配書)を発行した。同時に、「郭は詐欺師でレイプ犯だ」などと元部下に証言させる映像をインターネットに流すなど、郭氏の人格否定に躍起になっている。
北京の人権活動家は「郭証言の信憑(しんぴょう)性についてコメントする立場にないが、習指導部をここまで本気にさせたことを考えれば、かなりの部分は真実だろう」と話す。郭氏は今、家族の安全を考慮して言えないことは多くあるとしている。党大会までの第2、第3弾の告発で、習氏や家族に関するものがあれば、共産党が大混乱に陥る可能性もある。 産経ニュースより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
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