2017年5月20日土曜日

史上初、日仏英米共同訓練 陸自版海兵隊「水陸機動団」へ生かされる礎

5月11日から22日にかけて、米領グアム島およびテニアン島において、日仏英米共同訓練が行われた。1月に日仏外務・防衛閣僚会合2+2、続いて3月に日仏首脳会談が行われ、この史上初となる訓練が実施されることになった。

フランス海軍は、強襲揚陸艦「ミストラル」と、ステルスフリゲイト「クールベ」の2隻で、練習航海「ジャンヌダルク2017」を行っている。もともと、マレーシアやベトナムなど南シナ海の国々や、日本、グアムにも寄港する予定があった。早い段階から、この訓練は水面下で計画されていたのだろう。
「ミストラル」は4月29日、佐世保基地(長崎県)に入港した。同艦には、フランス海軍の士官候補生のほか、海軍の陸戦コマンド部隊、英海兵隊も乗り込み、英海軍の輸送ヘリ「マーリン」も搭載されていた。これに加え、5月5日の出港時には、陸上自衛隊の西部方面普通科連隊も乗艦。日米英の3カ国が同じ艦に乗り、一緒に行動するのは今回が初となる。

6~10日まで、輸送艦「くにさき」と洋上訓練を実施するなどし、11日にグアム島に入港した。12日にアプラ米海軍基地近くの砂浜で上陸訓練を行う予定だった。

しかし、事前訓練でフランス海軍のボートが座礁し、サンゴ礁を破壊する事故を起こしてしまう。これに激怒したグアム州政府は猛烈に抗議し、グアム島における4カ国共同訓練は中止となった。

ただ、陸自単独の訓練は13日に行われた。オブザーバーとして米仏海軍兵士の姿はあったが、見学のみにとどまった。

来年3月、陸自版海兵隊とも言われている「水陸機動団」が立ち上がる。この訓練に参加した隊員たちは、同部隊の実戦部隊として組み込まれることが決まっている。

沖合でボートを降りた6人の偵察隊員たちは、音を立てないようにゆっくりと泳いで浜辺を目指す。安全を確認すると、履いていたフィンを頭上に掲げて合図を沖へと送る。これをきっかけに3隻のゴムボートは一気に上陸。小銃を構えて展開していった。

こうした上陸戦術はすべて米海兵隊から教え込まれたものだ。それにアレンジを加えた水陸両用基本訓練課程という5週間にわたる陸自独自の基本教育を実施している。さらに専門的な教育を施し、島嶼(とうしょ)防衛のスペシャリストとして養成していく。
15~17日には、テニアン島へと部隊を移し、ようやく日仏英米が顔をそろえて訓練を行うことができた。

フランスは、太平洋地域に領土および準県を持っているため、中国による南シナ海の海洋進出を脅威と感じている。今後も仏海軍が太平洋地域に展開してくるのは間違いないだろう。
夕刊フジより

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