自民党内に興味深い勉強会が作られた。「今の財政状況は最悪の状況にあり、財政再建を行う具体策を検討する」という。財務省出身で前党税制調査会長の野田毅氏が代表発起人となり、野田聖子・元党総務会長と中谷元・前防衛相が呼びかけ人、村上誠一郎・元行革相が事務局を務めている。
「日本の財政が最悪の状況にある」とする根拠としては、消費税率の引き上げが2度延期されていることや債務残高が国内総生産(GDP)の2倍を超える状況であることだという。勉強会では「財政破綻の足音が聞こえている」との声も出ていたが、こうした勉強会ができる背景は何だろうか。
自民党の勉強会には大別して2種類ある。1つは自民党政務調査会の下での正式な機関である。筆者が先日、教育投資国債について話をしたのは、党の正式な機関である教育再生実行本部の下部機関であり、事務方は自民党の職員である。もう1つは、自民党の有志で集まる勉強会であり、事務方はさまざまである。役所の人間が事実上のお手伝いをすることも珍しくない。今回の勉強会は、おそらく後者の有志による勉強会ではないか。
有志による勉強会は、しばしば政治的な動きを実現するために行われる。誰が音頭をとって、誰がそれに付いていくのかを、みんなが注視している。それが1つの政治グループを意味することがあるからだ。
実は、安倍晋三首相も自民党が野党だった時代に、有志による党内の勉強会を作っている。東日本大震災後、復興増税に頼らないという趣旨の勉強会であり、当時の党主流派の主張である復興増税とは一線を画したものだった。この党内の勉強会はその後、超党派のものへと発展していった。
筆者は、野党時代の自民党内の勉強会を手伝った。安倍氏のほかに、中川秀直氏、山本幸三氏、田村憲久氏らが核になっていたが、なかなか党内で人が集まらなかったことを覚えている。
今回の野田氏の勉強会には60人が参加したと報道されているが、気になるのは政治的な意味合いの方だ。
安倍首相は、憲法改正に伴う教育無償化を党総裁として提案するなど、積極財政への方向感を出している。2020年のプライマリーバランス均衡という目標も、今後の政治情勢ではどうなるかわからない。なにより、19年10月に設定されている10%への消費再増税も、安倍首相が実施するかどうか、増税待望派にとっては気がかりだろう。
政治の世界からみれば、安倍政権への政治的な対抗軸として、野田氏らの勉強会が作られたというのは納得がいく。初回に呼ばれた講師は、財務省出身の田中秀明・明治大教授だった。財政再建論者であり、筆者が主張する日銀を含む「統合政府論」に反対しているという。
「今の財政が最悪だ」というのは、統合政府の話と真逆で、おそらく「消費増税を渋る安倍政権が最悪だ」という政治的なメッセージだろう。ただ、雇用を回復させ、財政再建までしたことを忘れている。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
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