2015年秋、日中で受注を競い合った結果、中国が手掛けることに決まったインドネシア高速鉄道だが、工事は遅れている。日本に協力要請が出される可能性も出てきた。ノンフィクションライター・水谷竹秀氏がレポートする
中国案件が円滑に進まなかったのはなぜだろうか。当初から最も懸案事項となっていたのは用地買収問題である。
政府幹部や事業主体のKCIC(インドネシア中国高速鉄道)の社長は1年前、私の取材に対して用地買収への自信を見せていたが、蓋を開けてみれば現在も一部地域で地主との交渉が続いており、未解決のままだ。買収が終わらなければ、事業資金の75%を賄う中国開発銀行からの融資が受けられないため、KCICが負担を強いられているのが現状だ。さらにこの問題は、日系企業にも波及していることが判明した。
そこはジャカルタから東に離れた工業団地で、多くの日系企業が集積する。関係者は語る。
「高速鉄道が通る用地は日系製造工場のすぐ側で、そこには高圧送電線の鉄塔が立っている。その代替地を確保できるのか否かも含めてクリアすべき課題が多い。事業は本当に実現するのかと疑問視する声が現地日本人の間で広がっている」
その現場を訪れてみると、高速道路と工場敷地の幅は約50m。そこに鉄塔が何本も立ち並んでいるため、高速鉄道を通すためにはすべて移動させる必要があり、大規模な工事が想定される。鉄塔を迂回するルートをたどれば、工場の敷地が障害になる。
KCICの広報担当はこの事実関係を認めた上で次のように語った。
「日系企業との話し合いはすでに始まっているが、妥結には時間がかかるだろう。同じ状況に置かれた日系企業は他にもある」
そもそも計画段階でこの現場を高速鉄道が通過することは分かっていたはずだ。でなければ事前調査がずさんだった可能性がある。
「政府の債務保証を求めない」という破格の条件に飛びついて中国案を採用したインドネシア政府の判断にも、問題があったかもしれない。
インドネシア政府はここにきて一転、日本に秋波を送っている。日本の製品や技術力への信頼が高いことも関係しているだろう。
一方で中国製品に対しては「壊れやすい」という街の声を耳にする。その典型例が、ジャカルタ中心部を走る中国製の路線バスが炎上する事故が多発していることだ。
もちろんジャカルタ-スラバヤ間の準高速化計画が正式に要請されたとしても、油断は禁物だ。だが、この事業を成功に導くことができれば、各国で繰り広げられている高速鉄道の日中受注競争を有利に進める実績になる。
中国案と同じ轍を踏まないためにも、今回の教訓が活かされるべきである。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年5月20日土曜日
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