2017年7月10日月曜日

「北朝鮮船に占領されてしまう」北のスルメイカ違法操業で抑止対策 

日本の排他的経済水域(EEZ)にある日本海の「大和堆(やまとたい)」周辺での北朝鮮漁船によるスルメイカ違法操業問題で、海上保安庁が現場海域に巡視船を派遣、違法操業の抑止対策を開始したことが9日、関係者への取材で分かった。大和堆周辺では昨秋から北朝鮮船が確認され、海保が巡視船の運用調整を進めていた。巡視船数隻が北朝鮮船の排除に当たっているとみられる。
 
大和堆は男鹿半島から西に約400キロの水深が急激に浅くなる海底地形で、日本海有数の好漁場。日本漁船が6月ごろと10月ごろにスルメイカ漁をしているが、昨秋から数百隻規模で北朝鮮船が集まるようになり、日本船は現場から離れざるを得なくなっている。

水産庁によると、領海の基線から200カイリ(約370キロ)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。日本と漁業協定を結んでいない北朝鮮の船はEEZ漁業法に違反。さらに、日本船が北朝鮮船の網をプロペラに巻き込むと航行不能になるため、全国いか釣り漁業協会が海保に取り締まり強化を要請していた。

現場海域は第9管区海上保安本部(新潟市)が担当し、同本部がある新潟港には全国各地から巡視船が集結。7日には巡視船「だいせん」(舞鶴海上保安部、3100トン)や「しきね」(下田海保、1300トン)、「きくち」(門司海保、335トン)などが確認された。大和堆では、これらの巡視船が水産庁の取締船とともに対応しているとみられる。

イカ釣り漁船が出漁する石川県漁業協同組合小木支所は違法操業を放置すれば、今秋も繰り返される恐れを懸念。同支所の担当者は「大和堆が北朝鮮船に占領されてしまう。巡視船であれば追い出せるので、厳正に対応してもらいたい」と話していた。

【用語解説】

排他的経済水域(EEZ) 国連海洋法条約で認められた領海の基線から200カイリ(約370キロ)までの海域で、天然資源の探査・開発、海洋の科学的調査などについて権利がある。ただ、東シナ海や日本海では日本と周辺国の最短距離が400カイリ未満のため、中間線の日本側をEEZとしている。

大和堆(やまとたい) 男鹿半島から西に約400キロの水深が急激に浅くなる海底地形。付近の海流は地形の影響を受けて蛇行するなど複雑になっている。このためプランクトンなどが豊富で、日本海有数の漁場とされる。全国いか釣り漁業協会によると、6月ごろには北上中のスルメイカが、10月ごろは産卵のため南下するイカが獲れ、石川や山形、北海道、秋田などから漁船が出漁する。  産経ニュースより

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