安倍晋三首相は、衆参予算委員会での閉会中審査を終え、8月3日に断行する内閣改造・自民党役員人事に本格的に着手した。内閣支持率が30%未満の「危険水域」に突入するなか、挙党態勢を築き、緊迫する東アジア情勢に対応する人選が注目される。お友達人事を排し、「重厚な内閣」を立ち上げるため、「ポスト安倍」を狙う石破茂元幹事長に重要閣僚での起用を打診する案が浮上している。石破氏は、自民党や日本のために火中のクリを拾うのか。
「そう遠くない日に必ず選挙がある。立ち遅れは許されない」
自民党の二階俊博幹事長は25日、大阪市で開いた二階派研修会の講演で、こう語った。今年秋の「電撃解散」を示唆したのか。安倍首相と緊密に連絡を取り合っている党重鎮の言葉だけに、意味深長だ。
安倍首相は今回の内閣改造について、誰が見ても文句が付けられない「重厚な内閣」を目指している。党役員人事も含めて、国民が「やはり、政権を担えるのは自民党しかない」と納得するような布陣を敷き、局面打開の解散も模索しているとされる。ただ、現状の内閣支持率は厳しい。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が22、23両日に実施した合同世
調査で、支持率は34・7%(前回比12・9ポイント減)、不支持率は56・1%(同13・2ポイント増)となり、2012年12月の第2次安倍内閣発足後、支持は最低、不支持は最高を記録した。
安倍首相は、内閣支持率の下落について、「国民の声であると真摯(しんし)に受け止めたい」と語っているが、この世論調査の中に党勢回復のヒントがあった。
「いま首相にふさわしい人物」を聞いたところ、1位は安倍政権にメディアで苦言を呈している石破氏で20・4%。安倍首相は19・7%で2位だったのだ。
永田町関係者は「石破氏を重要閣僚で起用する案が浮上している」といい、続けた。
「『反安倍』の急先鋒(せんぽう)である石破氏を入閣させられれば、『お友達』色は払拭できるうえ、国民に『安倍首相は変わった。苦言にも耳を傾ける』と印象付けることができる。昨年8月の内閣改造の際、石破氏は『財務相か外相なら受ける』と語ったという。当時、ロシア外交もあり、麻生太郎副総理兼財務相と岸田文雄外相は外せなかったが、岸田氏は今回、党務復帰も希望している。石破氏が『自民党の危機』に立ち上がって内閣支持率が上がれば、『ポスト安倍』の最右翼に躍り出る。石破氏の外相起用はあり得るのではないか」
森喜朗元首相も「安倍首相にアドバイスするとすれば、嫌いな人、縁遠い人ほど近くに置くべきだと言いたい。遠い人を入れれば、遠い人の周辺にいる人も味方に引き込めるからだ」と語り、石破氏にも入閣要請すべきだと指摘する。
石破氏は衆院当選10回、党幹事長や政調会長、農水相、防衛相、地方創生相などを歴任してきた。ただ、財務相や外相、経産相などの重要閣僚は経験していない。
田中角栄元首相はかつて、「首相になる条件」として、党三役に加えて、「外務、通産(現経産)、大蔵(現財務)の3つの大臣ポストで成功すること」と語った。厳しい国際環境で政権運営をするには、3閣僚の経験は重要といえる。石破氏にとって、角栄氏は「政治の師」である。
安倍首相にとっては、悲願である憲法改正や、拉致問題の解決を成し遂げるため、石破氏に党勢回復の起爆剤を期待することになる。
ただ、安倍首相の入閣打診を、石破氏が断る可能性もある。
前出の永田町関係者は「党の危機に、重要閣僚を打診されて入閣拒否すれば、党内は『石破氏は倒閣に舵を切った』と受け止める。『また自民党を飛び出して、小池百合子都知事と救国政権でもつくる気ではないか』と疑う向きも出てくるかもしれない。現在、細田派(96人)を筆頭に、麻生派(59人)、額賀派(55人)、岸田派(45人)、二階派(44人)が『安倍首相支持』を打ち出している。石破派(19人)だけが反対に回れば、石破氏の『ポスト安倍』狙いは難しくなる」と語った。
安倍首相は、石破氏とは距離を置いているが、石破氏の最側近、山本有二衆院議員を農水相に起用するなど、石破派を突き放してはいない。
石破氏を重要閣僚で起用する案を、永田町の識者はどう考えるか。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「石破氏にとって『入閣=取り込まれる』だ。来年秋の党総裁に出馬するために、石破氏は派閥を立ち上げ、閣外に去ったはずだ」といい、続けた。
「安倍首相の意を受け入れて入閣したら、派閥の領袖としての資質が問われる。もし入閣要請が来たら、自身ではなく、派閥の若手に譲るべきだ。そのうえで、自身は外から政権に苦言を呈し、もの申すスタンスに徹すべきではないか」
違う意見もある。
政治評論家の森田実氏は「今は『安倍政権の危機』というより、『自民党の危機』だ。安倍首相は石破氏に協力を要請し、石破氏も素直に応じ、懐の深さを示すべきだ」といい、解説した。
「『加計問題』などで、安倍首相や自民党に批判が集中している。この事態を甘く見てはいけない。石破氏は次期党総裁選をにらみ、閣外に留まろうとするかもしれない。だが、そうした私利私欲を捨てて、愛党精神で『党の団結』に一肌脱ごうとすれば、男の株が上がる。今は党内抗争をするタイミングではない。結束が大事だ」
安倍首相と石破氏は連携できるのか。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年7月28日金曜日
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