北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したお返しに、アメリカと韓国が弾道ミサイルの発射訓練を合同実施。
7月4日、北朝鮮は「特別重大報道」で「ICBMの発射実験に成功した」と発表した。これに対して、当初は「中距離弾道ミサイル」との見方を示していたアメリカもICBM発射を認め、レックス・ティラーソン国務長官は「強く非難する」などの声明を発表している。
アメリカの独立記念日である7月4日にICBMを発射したことについて、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は「非常に絶妙なタイミングで、傲慢なアメリカの顔を殴りつける決断をした」「独立記念日の贈り物が気にくわないだろうが、今後も大小の贈り物たちを頻繁に送り続けてやろう」などと語ったという。これを受けて、アメリカが軍事行動に出る可能性はあるのか。経済評論家の渡邉哲也氏は、以下のように語る。
「今回のミサイルの性能については検証の途上ですが、独立記念日の発射はアメリカに対する強烈な威嚇行動には違いない。そもそも、アメリカとしては本土を直接攻撃され得ることになるICBMの開発および発射だけは看過できないという姿勢を示していた。そのため、ICBMの開発完了が認められた時点で先制攻撃の可能性もあるとされていたわけだ。また、いざというときには『アメリカ単独で北朝鮮への制裁行動に出る』と中国に予告している。
今回のミサイルについては、固形燃料の使用と移動型発射台による発射が確認されている点も脅威である。液体燃料の場合、燃料の充填に1~2日程度の時間がかかるため、ミサイルが発射台に置かれてから実際に発射するまでには時間を要する。しかし、固形燃料の場合はつくり置きして保管することができ、発射の準備にも時間を要しない。緊急的なミサイル発射もあり得ることになり、それだけ発射前に撃墜することが難しくなるわけだ。
移動発射台による発射が可能となれば、普段は洞窟などの安全な場所に発射台とミサイルを隠しておき、必要となった場合に出して瞬時に発射するということが可能になる。迎撃する側からすれば、ミサイルがどこから飛んでくるかわからないため、レーダー監視などで発射地点を特定するのが非常に難しくなる。
北朝鮮の移動型発射台は『コールド・ランチ』と呼ばれる2段階発射型とみられている。通常、発射台は1回の発射で使用不能になるが、コールド・ランチの場合は噴射してから発射させる構造になっているため、発射筒が何度でも使えるというメリットがある。つまり、ミサイルを積み替えることで連続発射が可能となるわけだ。
これは、北朝鮮の技術が飛躍的な進歩を遂げていることを示すものだが、中国が技術供与しているともいわれている。あとは核の小型化が完了すれば、アメリカにとってはさらにやっかいな事態となるだろう」
中国に不満の米国内で北朝鮮攻撃の気運高まる
その中国の習近平国家主席は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と4日に会談を行い、北朝鮮のミサイル発射に対して「受け入れられない」と非難する一方で、米韓の合同軍事演習やアメリカによる韓国への地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備の中止を求めるなど、対米批判も繰り出した。なぜ今、中露が結束を強めるのだろうか。
「4月に行われた米中首脳会談において、ドナルド・トランプ大統領と習主席は貿易および北朝鮮の問題について100日以内に成果を求める『100日計画』を策定している。この期限は7月中旬。しかし、中国の対北制裁は大きな進展がないため、アメリカは南シナ海をはじめとして中国に強い圧力をかけている。
仮に北朝鮮問題が片付けば、アメリカの次のターゲットは中国が領土拡張を続ける南シナ海問題となる。中国はそれをよくわかっているため、あくまで北朝鮮を盾にするかたちでアメリカとの交渉を継続したい。
また、中国は秋に5年に一度の共産党全国代表大会を控えているが、これに向けて党内の権力闘争が激化しており、現状では習主席の政敵である中国共産主義青年団が勢力を伸ばすという見方もある。そのため、中途半端な妥協もできない。そんな構図のなかで、身動きが取れなくなったといえる」(同)
確かに、ここのところアメリカは中国を牽制する動きを連発している。2日にはトランプ政権下で2度目となる南シナ海での「航行の自由」作戦を実施。6月には、北朝鮮との違法取引を理由に中国の銀行に金融制裁を科したほか、台湾に総額14億2000万ドルにおよぶ武器売却を決定している。これらは、中国に対する不満の表れなのだろうか。
「いずれにせよ、トランプ大統領が中国への圧力を強化することは確実だ。今、アメリカ国内では、北朝鮮に拘束されていたアメリカ人大学生が帰国後に死亡した問題で、『北朝鮮に制裁を科すべき』という国民感情が高まっている。また、リベラル系メディアの代表格であるCNNまでもが対北制裁を求めるコラムを発表するなど、戦争に向けての世論が形成されつつあるといえる状況だ。
当面、焦点となるのは7日から行われるG20(20カ国・地域)首脳会議だ。今回の議長国はドイツで、どちらかといえば中国有利、アメリカ不利という構図になる。元来、頑固で意思を曲げないドイツは調整力が低く、本来であれば調整役を担うはずのイギリスはテリーザ・メイ政権がレームダック(死に体)化している。ここでどのような合意がなされるかが、今後の国際情勢を左右するだろう」(同)
北朝鮮、6回目の核実験を強行の可能性も
安倍晋三首相は、G20首脳会議において「北朝鮮問題への国際社会の連携を強く訴えたい」と表明している。また、G20首脳会議では米中首脳会談や米露首脳会談も行われる予定だ。
5日、韓国の韓民求国防大臣は、北朝鮮が6回目の核実験を強行する可能性について「高いとみている」と語っているが、核実験強行となれば、トランプ政権の設定する「レッドライン」(越えてはならない一線)を越えることになる。北朝鮮をめぐる情勢が、再び緊迫化してきた。 ビジネス・ジャーナルより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年7月31日月曜日
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