2018年6月26日火曜日

レアアース「国産」目指して 日本海底6000M、無人潜水機の開発着手

世界第6位の海域面積を管理する海洋国家・日本。近海では、希少土(レアアース)を1600万トンが眠っている。政府はこの夏、自律型の無人潜水機で水深6000メートルの深海底を調査できる技術の開発に着手するという。輸入に頼ってきた、レアアースの「国産」化を目指す。

日本は資源に乏しく、エネルギー・資源の多くを輸入に頼っており、産業構造を支えるには脆弱だと問題が指摘されてきた。JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)によると、中国は世界のレアアース埋蔵量では4割に上り、長らくその生産量が世界90%を占めてきた。

中国国営メディアによると、2017年上半期に内モンゴル自治区から輸出されたレアアースの量は5029.9トンで、そのうち約半分は日本へ輸出されたという。

しかし、中国レアアース市場は中国共産党政府により管理されており、共産党内の政局や対日外交など、政治事情に左右されやすく不安定要素は多い。さらにルール違反の行動も報じられている。読売新聞は4月、中国籍の船舶が、日本の排他的経済水域(EEZ)に、日本の許可なく侵入し、希少資源を採取していると報道。中国は、学術的にも同地域の希少類に言及し、優先権(先取権)を狙っているとみられる。

レアアースは、経済産業の発展には必要不可欠だ。光ファイバー網、超伝導材、LED、原子炉中性子、触媒、磁石、電池などの材料となる。ハイテク分野を含む日本の産業には不可欠だ。

専門家の高木哲一・レアメタル資源研究者は科学誌シンセシオロジー2016年9月号の寄稿文で「日本鉱床から重レアアースを生産することができれば(略)たとえ生産量が少量でも、中国というカントリーリスクを取らずに重レアアースを入手できる。市場に安心感をもたらし、価格の安定化に寄与することが期待される」と記している。

2010年、中国はレアアースは極端な輸出制限を行ったため、価格が最大10倍に高騰した。以後、日本は中国依存の脱却と輸入先の多角化を図ってきた。2015年までに中国シェアは48%までに減少し、ベトナム、マレーシアからの輸入を増加させた。

日本政府は、自国の排他的経済水域(EEZ)内から、レアメタルを生産できるよう、安定供給と確保を図り、調査から生産に至るまで一連の技術を開発・実証することを目指す。

政府はこの夏、海上に浮上することなく長時間活動できるよう充電され、海底でもデータ送信できる自律型無人潜水機(AUV)の研究開発を行う。AUVは、鉱物資源を深海底から採取し、船上へ効率よく運ぶ技術の開発も行う。2022年度までの実用化を目指す。

内閣府によると、日本の希少鉱物が存在するとして注目を集める日本最東端の島、南鳥島(東京)には、水深の最も深い5000~6000メートルの海洋底にレアアース泥がある。日本の海域は、水深2000~6000メートルが全体の65%を占める。


4月に発表された早稲田大学と東京大学などの合同研究によると、南鳥島の周辺には1600万トン超ものレアアース(希少類)が存在する。これは世界需要の数百年分に相当する。

2017年、経済産業省の委託を受けたJOGMECは、沖縄近海の1600mの海底にある熱水鉱床から連続でレアアース鉱床を洋上に揚げることに世界で初めて成功した。

今回のAUVを使用した研究開発は、さらに水深の深い5000~6000メートルで行う。成功すれば、国内外で前例のない深海鉱物資源の生産が可能となる。大紀元日本より

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