2018年6月27日水曜日

日本、国防費2倍で自衛隊の攻撃能力高める

自民党の政務調査会は先月29日、「防衛計画の大綱」の見直しと中期防衛力整備計画のための提言を安倍首相に伝達した。すでに日本は4月に発表した外交青書で現在の安全保障環境は戦後最も厳しいとし、具体的に北朝鮮の核およびミサイル能力、そして中国の一方的な現状変更に対する懸念を提起した。特に米国が推進するインド太平洋戦略において日本の役割が持続的に増大するという認識のもと、今後推進される日本の防衛政策と軍事力整備はNATOのようにGDP比2%への拡大も検討されるべきだという。

今後、防衛省は今回の自民党の提言を反映して現防衛大綱(2013年策定)を年内に見直す予定であり、これを基礎に中期防衛力整備計画と2019年防衛予算を具体的に決めることになる。実際、防衛大綱は防衛政策だけでなく10年後の自衛隊戦力保有目標を具体的な数値で提示していて、これを通じて自衛隊の軍事動向を把握できるため、多くの国内外専門家が注目する。こうした観点で今回の自民党の提言はすでに年初から防衛省の意見を十分にまとめて提示されたが、今回の米朝会談の結果と今後の日朝国交正常化が推進される場合は一部調整される可能性があるだろう。今回の自民党の提言を整理してみよう。

1.日本の情勢変化、特に脅威に対する認識の変化

日本政府は1976年の最初の防衛大綱策定当時、「基盤的防衛力」に基づいた防衛力整備を提示した。安保は日米同盟に依存し、周辺に脅威にならないよう最小限の防衛力を保有するという論理だった。しかし2004年の改定を通じてこれを放棄し、「脅威に対応した防衛力整備」が始まった。安保において普通の国の第一歩となる重要な変化だ。こうした観点で今回の報告書は、現在日本をめぐる安保環境と国際情勢は「戦後最大の危機的情勢」であり「新たな脅威」が出現したと見ている。具体的に北朝鮮の核およびミサイル脅威、生物・化学兵器など脅威と共に、中国の軍事費が過去30年間に51倍に急増し、空母および最新型潜水艦、J-20など第5世代戦闘機など現代化した軍事動向を懸念している。特に尖閣諸島をめぐる領土紛争が激しくなり、ロシアも北方領土に軍備を増強していることを指摘し、宇宙およびサイバー空間など新たな脅威と戦闘様相に対応すべきだという点を強調している。

2.日米同盟と友好国との連携強化

日米同盟は尖閣諸島など南西地域の安定をはじめとする日本の地政学的な側面で死活的に重要な役割をしてきたと評価する。特にトランプ政権が新たな国家安保戦略で中国との競争を最優先課題として提示するなど、米国が安保政策を変化させていることに注目し、日本は日米同盟の強化と共に豪州、インド、英国、フランスなどと防衛協力を推進しながら「自由で開かれたインド太平洋戦略」と物品役務相互提供協定(ACSA)締結、海洋安保協力と能力構築支援などを強化していくことを提言している。現実的に北朝鮮の核脅威などに対処するため米国の拡張抑止は避けられないという点を前提とするが、日米同盟および日本の役割拡大レベルで在日米軍を含む対米支援基盤を強化し、同盟ネットワークに基づいて友好国との関係改善と国際協力を推進していくということだ。中国との衝突回避とロシアとの実務協議増進など予防レベルの対策も持続する必要があると提言する。         

3.日本の防衛力整備目標と防衛費

これは今後の自衛隊の量的および質的軍事力を意味し、NATOがGDP比2%の防衛費を目標とするように必要な防衛費を確保していくべきだという点を強調している。2018年の日本の防衛費は5兆1911億円であり、GDP比1%未満である点を考慮すると、今後、画期的な防衛費増加が予想される。これに関連して今年1月に発表された「自衛隊・防衛問題に関する国民世論」を見ると、自衛隊の戦力増強について29.1%だけが賛成し、60.1%が現状態維持を、4.5%は縮小を望んでいて、日本の厳しい経済指標などを考えると国家経済レベルでも決して容易な決定ではない。にもかかわらず日本が戦争に巻き込まれる危険性については国民の85.5%が認識していて、今後の防衛費の画期的増大を排除することはできない。

4.武器体系導入など軍事力強化

具体的に脅威を識別する防空監視体制の強化、無人機運用など情報収集および警戒監視能力の向上と共に、敵基地攻撃能力など積極的な対応を提示している。EMP攻撃など脅威の分析に基づいて自衛隊だけでなく米軍戦力発揮基盤を維持するために施設の地下化などのほか、衛生機能の強化、予備戦力の確保、後方支援能力の強化とそのための統合後送支援拠点の確保など実戦的な対応を促している。

艦艇用迎撃ミサイルSM3を地上に配備する陸上イージス・アショアを含む統合防空ミサイル防衛(IAMD)強化と共に、ミサイル攻撃に対する積極的な対処能力を具備していく。特に有事の際はもちろん災害対策レベルで「多用途空母運用」と共に垂直離着陸ステルス戦闘機F-35Bの導入を検討することを提言している。特に日本版海兵隊の水陸機動団の作戦能力を強化し、長距離打撃能力のほか「敵基地攻撃」が可能になるよう巡航ミサイルなど反撃能力を強調していて、今後、専守防衛をめぐる論争が再発すると予想される。宇宙およびサイバー空間、電気スペクトラムなど未来戦争に対する対応態勢のために統合部隊の創設と人材養成も強調している。

今回の自民党の防衛大綱見直しに対する提言は対北朝鮮抑止力向上レベルなど前向きな側面もあるが、日本の敵基地攻撃能力保有と多用途空母運用などは域内の軍備競争を刺激するマイナス要因を内包しているため、北朝鮮脅威論に基づいた戦力増加論理が日本でも新たな争点になるとみられる。中国脅威論が浮き彫りになる可能性が高い。もちろんこうした議論は北朝鮮の非核化のための実質的措置が取られながら段階的に争点化されるだろうが、軍事力の建設は長い時間と天文学的予算が伴うという観点で日本の対応が注目される。韓国の立場もこれと無関係でない。国防改革など安保懸案を解決していくためには米国との同盟を軸とする韓日安保協力が北朝鮮の非核化と域内の安定を同時に推進できるよう国民的な共感と共に「他山の石」の知恵を集める努力がいつよりも重要だ。

中央日報より         

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