2017年6月17日土曜日

ソウル「北と対話」 ワシントン「怒り」…韓米首脳会談前に隔たり

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が28-29日の初の韓米首脳会談を控えて意欲的に出した「6・15提案」が早くも暗礁に乗り上げた。

「北が核・ミサイル追加挑発をしなければ対話に向かう」という一種の「無条件」対北朝鮮提案に対し、米トランプ政権が15日(現地時間)、「核を放棄した後に対話」という原則を明確にしたからだ。さらに韓米間の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題に続き、北朝鮮が昏睡状態の米国人オットー・ワームビア氏を放置して解放した事件で、米国内の対北朝鮮世論も悪化している。北朝鮮に対する米国の感情は最悪だが、文大統領はハードルを下げてでも北朝鮮と対話して韓半島(朝鮮半島)イシューを主導すると述べ、ソウルとワシントンの隔たりが浮き彫りになっている。 

文在寅大統領の北朝鮮関連発言は16日にも続いた。済州(チェジュ)で開催されたアジアインフラ投資銀行(AIIB) 第2回年次総会の開幕式で「南北が鉄道でつながる時、新しい陸上・海上シルクロードの完全な完成となる」と強調した。核・ミサイル挑発を中断する場合に北朝鮮が期待できる青写真の提示だ。この日、趙明均(チョ・ミョンギュン)統一部長官候補も記者らに対し、「北が(自分たちが強調してきた)6・15および10・4共同宣言の精神に戻って対話に出てくるべきだというのが文大統領の考え」と述べた。

米国務省のナウアート報道官の「核放棄が前提になってこそ対話をする」という発言は、ティラーソン米務長官が5月に文大統領の対米特使団に会い「(対話再開のために)米国を信じて一定期間の核・ミサイル試験中止を行動で見せるべき」と述べたのに比べてむしろ強まった。専門家らは米国の立場をついて、「文在寅政権発足後のTHAAD配備問題の波紋とオットー・ワームビア氏の事件が複合的に作用したようだ」と分析している。ある外交消息筋は「THAAD配備問題が米政権・議会など公的部門の対韓国世論を悪化させたとすれば、健康な青年ワームビア氏が植物人間になって帰ってきた事件は一般米国民の対北朝鮮世論を怒らせた」と述べた。

ユーラシアグループのアナリスト、スコット・シーマン氏は中央日報に「意識不明状態のワームビア氏を1年以上拘束しながらも健康状態に関する情報を米国政府と家族に知らせなかった」とし「クレイジーだ」と怒りを表した。これに先立ちロイス下院外交委員長は14日、下院外交委員会に出席したティラーソン国務長官に対し、「ワームビア氏が米国に戻るというニュースを聞いて喜んだが、意識不明の状態であることを知ってぞっとした」とし「あまりにも衝撃的」と述べた。ロブ・ポートマン上院議員、ジェリー・コノリー下院議員、ビル・リチャードソン元メキシコ州知事らも次々と声明を出して北朝鮮を非難した。

こうした状況で出てきた北朝鮮の主張に対する米病院側の反論、ワームビア氏の父の怒りに満ちた記者会見に接した米国内の世論はさらに悪化している。

ワシントンポストはこの日、「ワームビア氏の試練は米国と北朝鮮の緊張を高めさせる」と伝えた。ニューヨークタイムズも「今回の事態はすでに緊張状態の米国と北朝鮮の関係をさらに悪化させる方向に向かわせる」と報じた。ナウアート報道官は「交渉は何かの代わりに何かをあきらめるという含意があり、今回の送還は交渉でない」とし、ワームビア氏の送還をきっかけにした交渉の可能性を一蹴した。

一方、中国外務省はこの日、「北朝鮮と韓国の双方が積極的な信号を送ることを歓迎する」とし、文大統領の提案を評価した。北朝鮮は特別な反応を見せていない。北朝鮮の対南機構の民族和解協議会が15日夜、報道官の談話で「南朝鮮当局の優柔不断であいまいな態度のため(6・15南北共同行事が)結局、実現しなかった。今のままでは関係改善どころか、まともな対話を一度もできなかった保守政権の前轍を踏むだろう」と述べた程度だ。

外交安保専門家らは「韓米首脳会談で文大統領が『6・1提案』を無理に進めるより、共感の確保に重点を置くべきだ」と注文した。   中央日報より
     

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