2017年10月2日月曜日

NHK受信料未払いで電力・ガス会社に住所照会

NHKの受信料を支払っていない人の住所を電力・ガス会社などから教わり、郵送で契約の締結を求めたい。この新しい制度についてNHK会長から意見を求められた有識者らが「合理性が認められる」と答えた。実現には法改正が必要だが、視聴者からは、早くも猛反発が起きている。「個人情報保護法違反だ」「テレビはいつからインフラになったのか」。国民の理解を得るには、時間がかかりそうだ。

情報照会に「合理性」

「NHKは何が何でも国民から金をしぼりとろうと画策しているようだ」

インターネットの短文投稿サイト「ツイッター」上には、この“居住者情報照会制度”の導入に批判的な書き込みが相次いでいる。

「合理性が認められる」との見解を示したNHK会長の諮問機関は「NHK受信料制度等検討委員会」(座長=安藤英義・専修大大学院教授)で、5人の有識者でつくる。NHK会長の諮問に対する答申を9月12日、上田良一会長に提出した。

答申などによると、NHKは電力やガス会社など公益事業者が持つ個人情報の提供を受け、郵送で契約締結を求める。「視聴者は(NHK職員の)訪問を受けることなく契約手続きを簡便に行える利点がある」と視聴者側の利益を強調する。

一方、現在約8割という受信料支払い率の向上につなげることができ、受信料の「公平負担の徹底」の観点から「公益性・合理性が認められる」と結論付けたのだ。

ただし個人情報保護のため、照会できる情報は氏名と住所に限るとした。

「NHKに権利なし!」

・「放送法を順守して国民の信頼を得る方が先では」

・「どこに公益性があるのか? 話にならない」

・「個人情報を好き勝手し放題なんて許せない」

ネット上では、ツイッターやブログなどで猛反発が起きている。

検討委員会は答申に先立ち視聴者からの意見募集を行ったが、そこでも厳しい批判が相次ぎ寄せられた。NHKで相次ぐ不祥事を指摘し、不信感を募らせる意見が目立った。

・「個人情報不正利用の危険が極めて高くなる」

・「NHKが国民の個人情報を利用する権利などない」

公益事業者側の立場に立った見方からの反発もあった。

・「公益事業者は個人情報を極めて慎重に取り扱っているはずで、NHKは特別だからということで、その情報が簡単に出てくるものではないと思います」

一方、受信料の公平負担徹底の観点から賛成の声もあった。

・「支払っていない人を保護しすぎることで、まじめに払っている人が不利益を被るのはおかしい」
プライバシー権を侵害?

そもそも、照会制度をどのような形で実現しようというのか。検討委によると、法改正が必要となるという。

個人情報保護法は、公益事業者などが持つ個人情報を本人の同意なく第三者に提供することを禁じている。しかし、同法には「法令に基づく場合」など例外的に情報提供できる規定が設けられている。

「放送法を改正し、(照会)制度を加えることで、例外規定の適用を受けようということ」。検討委座長の安藤教授は、照会は可能と説明する。

とはいえ、この強引とも言える受信料徴収策。国民の理解がなければ放送法改正はおぼつかないだろう。

検討委が想定する手続きに異論を唱える有識者もいる。

元NHK経営委員長代行の上村達男・早稲田大教授は「憲法で保障されたプライバシー権の侵害にもつながりかねず、照会制度を放送法に記すことができたとしても運用が可能かは疑問だ。国民的な議論となる」と指摘する。

9月20日に総務省で開かれた有識者検討会に出席したNHK幹部は答申の概要説明にあたり、答申の文面を読み上げるにとどまった。今後、視聴者に対して理解を求めていくのか、先行きは見通せない状況だ。

NHKと個人情報 NHKは現行の放送法のもとでも、法務局から不動産登記情報を入手し、未払い世帯に契約を求める文書を送るなどしている。ただし、賃貸物件の居住者は把握できないなどの課題がある。NHK会長の諮問機関は答申の中で、海外の公共放送では契約の締結や受信料の徴収に、電気料金支払い者情報や郵便局の住所情報などを活用している点を強調している。 産経ニュースより

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