今回の衆院選は、北朝鮮対応といういわば「有事解散」であった。「安全保障解散」と言い換えてもいい。
先日ある情報番組に出演した際、外国人コメンテーターから、「戦争」について語ることがタブー化されているという発言を聞いた。まさにそのとおりだ。
筆者は、日本でそれを痛感していたので、米プリンストン大に留学したとき、平和論・国際関係論を学んだ。以前の本コラムでも紹介したが、戦争を冷静に数量的に分析して、どのようにしたら戦争になる確率を減少させるかを研究する学問だ。
日本の左派系論者は、集団的自衛権を持つと「日本が戦争できる国になる」といった主張をするが、実は過去の戦争データを分析すれば、集団的自衛権は戦争になる確率を減少させる方策だということが分かる。
こうした点からみると、同盟関係で圧力をかけることは、戦争確率を減少させることになる。もちろん、圧力は対話を引き出すためのものであることを忘れてはいけない。
小泉純一郎元首相は北朝鮮を訪問し、金正日(キム・ジョンイル)総書記が日本人の拉致を認めて謝罪した。これをうまく行えた背景として、米ブッシュ政権が北朝鮮に圧力をかけていた。北朝鮮は拉致問題の解決を持ち出すことで米国の圧力を避けようとしたのだ。
同時に、北朝鮮は日本との国交を正常化することで経済協力を求めていたという事情もあった。
現状の北朝鮮問題では、11月に日米首脳会談、米中首脳会談がある。アジア太平洋経済協力会議(APEC)での各国首脳会談にはロシアも出てくるだろう。それらの国際会議では北朝鮮問題が話し合われ、北朝鮮版「ヤルタ会談」ともいうべきものになる可能性がある。国際舞台の裏で、日本と北朝鮮との「和解交渉」が行われる可能性もないわけではない。
いずれにしても、トランプ米大統領、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領らと互角に渡り合うために、日本のリーダーは入念な準備をする必要がある。日本の国家としての命運がかかるなか、北朝鮮という国難への備えが重要だ。
こうした外交・安全保障とともに、内政の課題に同時並行的に取り組むことになる。
経済では、デフレからの完全脱却が喫緊の課題だ。そして、早く完全雇用の状態を作らなければならない。
本コラムで書いたように、インフレ目標2%、失業率2%台半ばを達成するためには、有効需要であと25兆円ほど必要となる。そのためには来年の通常国会の冒頭で大型補正予算を打ち出すべきだ。
そのタイミングで、朝鮮半島が有事となっている可能性もある。そうなれば大きな経済ショックも予想されるので、年初の大型補正の準備に一刻も早く取りかかるべきだろう。
安倍晋三首相が「リーマン・ショック級のことが起これば消費増税はしない」という趣旨の発言をしたことが各方面で話題になっているが、安全保障や経済状況を考えないで経済政策があるはずもなく、常識的な意見だ。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年10月24日火曜日
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