2017年10月7日土曜日

1発70円レーザー兵器、米海軍が運用開始

戦闘に革命的な変化をもたらすといわれる「レーザー兵器」がついにベールを脱いだ。米海軍は、ペルシャ湾に展開する輸送揚陸艦「ポンス」に新開発の「LaWS(レーザー・ウエポン・システム)」を配備し初の運用を開始。小型船舶と無人偵察機を攻撃する実験映像も公開した。

レーザー兵器は砲弾やミサイルを積み込む必要がないうえ、1発当たり1ドル未満と超格安。隊員がモニターを見ながらコントローラーでレーザーを照射する様子はまさにテレビゲーム感覚。米海軍は十分とはいえない破壊力を高め、2020年までに本格配備する計画だ。

見た目望遠鏡、小型船・無人機を破壊

米海軍研究所(ONR)が10日に動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した1分強の映像は衝撃的だ。幻想的なBGMが流れるなか、艦橋の上部に設置されたLaWSが接近してくる2隻の無人小型船に向けられると、突如として火柱が上がり、運転席の周辺が吹き飛んだ。オペレーションルームの隊員がモニターに映し出された船にコントローラーで照準を合わせてボタンを押すと次々に命中する。艦上から飛び出した無人偵察機も、モニターの照準に捉えられた瞬間、墜落された。レーザーは目に見えず、何が起きたのか分からない恐ろしさが伝わってくる。

「見た目は望遠鏡のようだが、われわれはこれで強力なパワーを手に入れた」。ONRのマシュー・L・クランダー局長は米紙ワシントン・ポストの取材にこう胸を張った。

海軍の艦船でレーザー兵器が運用されるのは今回が初めて。9~11月に照射実験が行われ、強風や高温多湿といった悪条件下でも狙いを外さず完璧に稼働することを確認し、今月10日に運用が許可された。

今回の兵器は照射出力が30キロワットで、標的の一部を破壊できる程度だが、ONRは「艦長の権限に基づき、ポンスが危険にさらされた場合、LaWSが艦を守る」とし、実戦での使用の可能性にも言及している。

低リスク低コスト、米以外も参戦

低リスク・低コストのレーザー兵器は「戦い方を根本的に変える」といわれている。砲弾やミサイルを積み込む弾薬庫は不要で敵の攻撃などで爆発する危険もない。ミサイルは1発数十万ドルもするが、レーザー兵器の1発当たりのコストはポスト紙の試算でわずか59セント(約70円)。クランダー局長は「1発1ドルにも満たず、防衛予算が増えないなか配備に何の異論もないはずだ」と強調した。

米海軍は約10年前にレーザー兵器の開発に着手し、これまでに計4000万ドル(約47億6000万円)を投入。すでに破壊力が今回の3~5倍の兵器の開発も進めているという。

米国以外でも開発が進んでおり、英軍需企業MBDAのドイツ子会社は今年2月、出力40キロワットのレーザー兵器で上空2キロの無人機を撃墜することに成功。イスラエルの軍需企業ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムも2月に「アイアン・ビーム」と名付けたレーザー兵器を航空ショーで公開した

クランダー局長は「パワフルでお手頃価格のレーザー兵器は将来の戦闘作戦で大きな役割を果たすだろう」と断言した。ゲーム感覚で撃ちまくり、戦争が勃発。そんな事態にならないことを祈るばかりだ。  産経ニュースより

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