2017年10月23日月曜日

北朝鮮のエリートが経済制裁に悲鳴

国際社会の経済制裁に加え、自然災害などによる凶作で食糧不足に陥りつつあると伝えられる北朝鮮。一部で配給が止まり、その影響が首都・平壌の「核心(エリート)階層」にも及んでいると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

北朝鮮に一時帰国して中国に戻ってきた貿易会社の幹部は、RFAに対して次のように語っている。

「経済制裁の影響は小さくないだろうと予想はしていたが、これほど苦しいものになるとは思わなかった。これまで配給に依存して暮らしてた平壌市民は大きなショックを受けている」
 
大量餓死も

この幹部によれば、最近、平壌市民が配給を受け取る場所が食糧販売所から勤め先に変更されたという。これは事実上の配給停止を意味する。それは次のような理由からだ。

工場や企業所は、配給する食糧を国から受け取るわけではなく、自主的に調達する必要がある。しかし、どこも原材料不足や販路断絶により稼働がストップおり、資金がない。だから食糧を購入して配給することもできないということだ。そのようなところが全体の7割以上に達するという。

また、生産活動を行わない行政機関に務める人や、社会保障、年老保障の対象者も配給を受け取れなくなった。配給を受け取れるのは朝鮮労働党、司法機関、軍需機関、科学教育機関などの幹部だけになっているという。

食糧を市場で買ったり、個人耕作地で栽培したりして調達している地方住民とは異なり、平壌市民は国からの配給に頼って暮らしてきた。

今回の事実上の配給停止が一時的なものかどうかは今の時点ではわからないが、仮に長期化すれば、地方住民より生活力のない平壌市民の間で餓死者が出ることも充分に考えられる。
 
実際、1990年代の大飢饉「苦難の行軍」においても、都市住民の犠牲が少なくなかったとされる。自分の手で農産物を作っている地方の農場員たちは、当局の目を盗んで食べ物を隠しておくこともできるが、それによって都市への供給が途絶えたら、都市住民は干上がるしかないからだ。

大飢饉が終わって以降、平壌では大型建設が相次ぐなど、はた目には華やかな発展を遂げてきた。しかしそれは、ひとえに政策的な優遇によるものだ。故金正日総書記と金正恩党委員長が、自らを支える「核心階級」の歓心を買おうと、日本風に言うところのバラマキ行政を行ったのである。

一時はその弊害によって、地方の食糧が瞬間蒸発し、短期間に大量の餓死者が出る事件もあった。
 
現在の北朝鮮の食糧事情は、かつてに比べ大幅に改善されている。ただ、国民経済のなし崩し的な資本主義化が進行し、貧富の格差が広がっている今、貧困層は食べ物などの価格がわずかに上昇しただけでも大きな影響を受ける。
 
また先述したように、都市の繁栄は政策的な優遇の結果であり、経済システムの裏付けはない。綱渡りで維持されてきた配給システムが消滅したら、都市の「核心階層」といえども安泰とは限らないのだ。

それが現実のものとなったとき、北朝鮮国民はどのような反応を見せるのだろうか。  yahooニュースより

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