このようなアナウンスを流しながら住宅街をトラックで回っている、通称「不用品回収業者」。環境省からは「このような業者は利用しないで下さい」と公式にアナウンスされており、声を掛けたことでトラブルに発展した、という事例も多数発生しています。
先日の「解体業者に聞いた! 教育勅語の石版、札束に弾丸…「現場で出現したヤバイ品々7つ」で話を聞かせてくれた解体業の方によれば、不用品回収業者は解体屋上がりが非常に多く、元解体業者ならではのノウハウと人脈を駆使した方法で稼ぎを上げている、というのです。
不用品回収業者が住宅街を回る目的、集めた不用品をどのようにして、どれほどの稼ぎを上げているのか、一時期は毎日のように見かけていたにも関わらず、最近めっきり数を減らしている理由などなど。それらを理解するためにはまず、解体業者のノウハウを知る必要があります。
■不用品回収業者の稼ぎのカラクリ
さて、建物を壊せば当然ながら、瓦礫や木片といったゴミが大量に発生します。ですが、それらの中には「量が集まれば価値が出る」という、特殊な事情を持つ物も含まれているのです。
その正体とは「金属全般」であり、解体の現場では価値のないゴミと分けて、蛇口やトタンなどのクズ鉄、電線や内部配線などの銅線、サッシなどのアルミ、といった金属が集められています。
これら金属は解体業者の倉庫などへ一時的に保管され、ある程度の量が貯まったところで鉄クズ業者へ売却されます。そして主に海外へ、リサイクル鉄材として輸出されていくのです。
金属の買い取りはキログラム単位で、単価こそ高額ではありませんが、何件もの建物から出てくる金属を集めればかなりの量となります。1年分をまとめて売れば少なくとも300万円は下らない、昔はもっと高く売れていた、とのことです。
そう、解体屋上がりの不用品回収業者は「金属はまとまった量があれば売れる」ということを知った上で「自身の持つルートを使い、各家庭からクズ鉄を集めて売却する」という仕組みで成り立っているのです。例外もあるでしょうが、数ある中から物の出処を問わない業者を知る解体屋上がりのシノギ、というのは納得の行く内容と言えるでしょう。
画像は「写真素材 足成」より引用
また「無料と謳っているのにお金を取られた」などのトラブルは、金属を集めている彼らに必要ない、特にブラウン管テレビやモニターを巡ってのトラブルではないか、という話も伺いました。売れないものは処分費用に手間賃を上乗せして請求しているのでは、とのことで、意外と良識的(?)ですね。おそらく鉄クズを貰うついでに手間賃も取って、回収した不用品は不法投棄、という業者が大半でしょうが。
逆に自転車やストーブ、バイクやスクーターなどの、金属部品の多い物なら本当に無料で持っていくのでは、とも伺いました。ただし、悪質な業者が多くトラブルとなる可能性が高いため、くれぐれも実行は厳禁です。
一時期は非常に多かった不用品回収業者ですが、最近はめっきり見なくなりました。その理由もまた、金属を由来としたものです。
彼らの活動のピークは約10年前、北京オリンピックが開かれる直前です。その頃は中国へ輸出するリサイクル鉄の需要が高く、クズ鉄にはキロ60円という高値が付いていました。例えば1日で500キロの鉄を回収できたとします。1人でやっていれば、その日の上がりは500*60で3万円です。元手は身体とトラック1台、かかる経費はガソリン代。割が良いかとうかはともかく、簡単にはじめられて身体を壊すリスクも少ない、元解体屋にうってつけの仕事とは言えるでしょう。
特に良いカモとなっていた、というのは田舎の老人で、使わなくなった耕運機などの大型機械を無料で回収して感謝され、鉄クズの取れない不用品であれば難癖を付けて手数料を徴収、という話はよく聞いたもの、とのことでした。
よくよく思い出してみれば、鉄板やマンホール、電線、銅線が大量に盗まれたなどの、金属の盗難事件が多発しニュースになっていたのもその頃でした。「金属の盗難」で検索すると、2007年前後のニュースのアーカイブが数多く見受けられます。
窃盗事件が多発するほどの鉄バブルは、北京オリンピック開催と同時にはじけ、今や鉄はキロ15円という価格でしか買い取って貰えません。不用品回収業者が減った理由は簡単、稼ぎが減ったからという理由です。
■遺品整理にゴミ屋敷掃除「何でも屋」は新たなシノギ?
解体現場から出てきた日本刀
現在、解体屋上がりの不用品回収業者たちはそれに見切りを付け、新たな方法での稼ぎを試みているようです。
先日の「解体業者に聞いた! 教育勅語の石版、札束に弾丸…「現場で出現したヤバイ品々7つ」内でご紹介した通り、壊す前の家の中には価値のある、売れるものがたくさんあります。不用品回収で稼げなくなった彼らは、それらデモノのゴミ拾いに特化した、粗大ごみ回収や遺品整理、ゴミ屋敷掃除などを引き受ける「何でも屋」を新たなシノギとしているそうです。
つまり、手間賃を取ってゴミを運び出す仕事を引き受け、アジトまで運んだゴミを骨董屋に見せて価値のある物を見繕い買い取らせ、クズ鉄などは売りに出し、家探しができる現場からうっかり現金が出てくれば儲け物、ということです。
需要のあるところに目を付けて、やれることで新たな商売を生み出す。ある意味で非常にたくましい彼らは、次は一体何に目を付けるのでしょうか。 トカナより
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