2017年6月19日月曜日

対北朝鮮、日本が次に組むべきはドイツだ

それでも”宥和”を叫ぶ韓国のリスク

朝鮮半島情勢への不安が高まっているものの、多くの人が慣れっこになってしまった。6月に入ってからも北朝鮮はミサイルを発射し、軍事的挑発を繰り返している。米中を中心に、国際社会は北朝鮮に圧力をかけ自制を促してきたが、十分な効果は出ていない。

それに加えて、韓国の文政権は北との宥和主義を模索している。そうした政策がワークしないことは既に明確になっているにも拘わらず、対北との対話を重視するという。また、文政権は中国にすり寄る姿勢を示しており、中国の習近平主席も韓国との関係改善に向けたスタンスを明確にしている。さらに、ドイツは米国のトランプ大統領と距離を置く一方、中国に対する宥和姿勢を一段と明確にしている。

朝鮮半島情勢を考えた時、米国や中国以上に重要なのが韓国の政治だ。韓国は38度線を挟んで北朝鮮と対峙している。双方、中国と米国の利害を反映した緩衝国の役割を担っている。その中で、北朝鮮は国際社会の警告を無視してミサイル開発などを進めている。言うまでもないが、この状況は韓国にとって大きな脅威であるはずだ。

ところが、韓国の文政権は北朝鮮への融和姿勢を示している。韓国が中長期的な国家の安定を真剣に考えるなら、国際社会に北朝鮮への制裁強化などを求めるのは当然だろう。しかし、現時点で韓国は、中国と米国の顔色を伺いつつ、わが国に慰安婦問題の再交渉を求めることで世論の支持をつなごうとしている。

北朝鮮に対峙する国がその脅威を発信し、国際社会の連携を求めることができていない中で、日本は今後の対応策を考えなければならない。韓国は日本に対して誠意を見せよと要求を続けるだろう。日本はその求めに対して、慰安婦問題は両政府間で最終的な合意が形成されたとの立場を貫くべきだ。感情的になって韓国を批判することは避けた方がよい。

むしろ、日本は国際社会との関係強化に注力したほうがいい。軍事的挑発を繰り返す北朝鮮に対して、ミサイル開発などを続けても思うようにはならないとのメッセージを発信するためには、複数の国の理解を取り付けなければならない。今の米国にそうした役割は期待しづらくなっているだけに、安倍政権の主体的な行動が求められる。

ドイツの軸足は中国・インドへ

基本的に、わが国にとって米国との安全保障体制は重要だ。それに加えて、アジアや欧州との関係も強化すべきことも無視できない。特に、これまであまり近しいと言えなかったドイツとの関係構築には力を入れる必要がある。トランプ大統領の批判を受けて、独メルケル首相は米国と距離を置き始め、中国やインドとの更なる関係強化に軸足を移し始めている。

ドイツは中国との関係を強化することで経済を支えてきた。さらに独中の関係が強まる場合、米国とドイツの対立が深まるなど国際社会の多極化が進む恐れがある。その状況下で北朝鮮問題などを議論することは難しいだろう。

不安定な状況を避けるために日本は、ドイツをはじめ欧州各国との関係を強化し、自由貿易体制や国際安全保障面での連携に向けたコンセンサスを形成すべきだ。

そうした取り組みを、今、進める必要がある。それが、中国による海洋進出という圧力に直面するベトナムやフィリピンなどの賛同を取り付けることにもつながるはずだ。わが国の意見に賛同するアジア新興国のインフラ開発をサポートすることで、多国間の経済連携に向けた議論も進めやすくなる。

基本的に、国際社会の意思決定は多数決の原理に基づいている。わが国は一つでも多くの親日国を確保し、発言力を高める必要がある。それができないと、北朝鮮問題への懸念が高まる中で、わが国が独中陣営などから孤立してしまう展開も考えられる。長い目線で考えると、その状況は、わが国の経済の安定のためには避けるべき展開だ。 週刊現代より

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