今日は竹島の日(2月22日)だ。そういえば、2012年秋に、私は韓国に不法占領されている竹島に上陸した。
遺憾ながら、この上陸ルートは韓国に渡航してから鬱陵島まで行き、そこから民間の定期観光船を使う、というものだった。
当然、パスポートを使って上陸するわけだから、韓国の主権を認めたもの、と取らえかねない行為だ。ともあれ、現状、民間人が竹島に上陸する方法は、韓国経由でしか存在していない。かなり悩んだ。結果、フォト・ジャーナリストの山本皓一氏や、コラムニストの勝谷誠彦氏が同じ方法で竹島に上陸しているという事実に思い至り、「赤信号・皆で渡れば~」の精神で自分を納得させたのだ。
そうまでして、私が竹島に上陸したいと思ったのは、基本、私の人生観というか、言論方針は「実証主義」を採っているからである。竹島や、韓国のことを語るのならば、最低一回は、その地に足を運んでみるのが当然だ。
例えば韓国の経済や政治を「けしからん」という論調で批評する評論家の中には、驚いたことに一度も韓国に行ったことがないまま、机上のデータを構成している人々も少なくはない。私は、基本そのような言論姿勢は「嘘」だと思っている。どう頑張っても到達不可能な地球外の天体や、事実上到達が難しい南極やアフリカの僻地などを除いて、基本的に外国に関する評論をやるなら、実際に行ってみないことには本当ではない。
私は韓国による竹島の不法占領を非難し、これを継続する韓国政府の方針にもけしからん、と強く憤っている。だからこそ、それを非難するためには、実際に竹島に行ってみる必要がある。そう、思ったのである。
とはいうものの、「竹島に行く方法」は、どの観光ガイドブックにも掲載されていない。竹島に上陸したい、と決断したは良いが、実際の方法に関しては全くのゼロ・手探り状態からスタートした。日本で調べられる範囲でわかったことは、まず鬱陵島への渡航が絶対条件とのこと。日本海に浮かぶ韓国の島・鬱陵島から竹島への定期観光船が出ている、という情報を得た。
尤も、ソウルの観光ツアーで「竹島(独島)観光ツアー」というのが、パックで出ているという話も聞いた。くだんの勝谷氏は、このパックツアーで上陸したという情報も掴んだ。しかし、既に2010年前後から、日本人の応募を拒否している、という情報もあった。実際、鬱陵島まで行かなければ、全く分からない状況だった。
そこで私は、まず韓国東部の浦項市(ポハン)まで行き、そこからフェリーで鬱陵島に向かった。鬱陵島には空港がなく、移動は全てフェリーに頼らなければならない。ここでまず第一の関門。浦項市から出航する際、現地の警察に入念に尋問された。尋問といえば大げさだが、「鬱陵島に渡航する目的」を入念にチェックされたのである。当然、竹島問題が念頭にある。私は、「アマチュアカメラマン」と適当に方便し、審査をパスした。しかし、警察に私の人相がすっかりファイリングされ、鬱陵島の警察分署にFAX送信されたので、「これは無理かな」と、この段階で竹島上陸には暗雲が立ち込めた。
鬱陵島に渡航し、竹島行きの航路を調べること2日、私はあっさり、竹島行きの定期観光航路のフェリーチケットを買うことが出来た。心配していた警察の監視も、私が日本人であることも一切、バレなかった。案外、きっちりしているようで抜けているのが韓国警察である。
それどころか、竹島行きの埠頭の桟橋で、統治時代の日本語を流暢に操る老人に話しかけられ、日韓友好の重要性を説かれたりもした。竹島行きの方法を、現地の韓国人に聞き込みしたが、皆熱心になって調べてくれた。実は、現地の人も、竹島行きのフェリーの詳細について、具体的にはそんなに知っているわけではない。航路は完全に観光客用で、地元の人間は乗らないから、知識がないのだ。ともあれ、みんな親切な人ばかりだった。
そうこうして、鬱陵島から約1時間半、とんでもなく揺れる小型高速船にのって、私は竹島に向かった。人生で、あんなにも上下に揺れる船に乗った経験はない。私も、周りの韓国人も、三半規管がイカれてゲーゲー吐瀉していた。運転が荒いのか、その海域がそういう波なのか、よくわからなかったが、晴れて静かに見える日本海は、とにかくとんでも無い船酔いの地獄だった。
いよいよ竹島に上陸(東島)すると、現地の警備員が定期船の観光客らを出迎えてくれる。いちおう「竹島を不法占領している韓国警察」であったが、ここでは完全に観光客用の出迎え要員で、島の観光案内を代理しているというような格好だ。
竹島には韓国政府が1990年代に整備した大型船の埠頭があり、私達はそこに接岸して上陸したのだ。とはいっても、ほとんど平地のないような狭い空間で、上陸はできるものの、東島の遥か頂に存在する韓国による構造物(警備員宿舎、展望台、ヘリポートなど)は地上から眺めるだけで上っていけるわけではない。滞在時間もせいぜい小一時間というものであったが、竹島の今を知るには十分だった。「日本固有の領土」であるはずの竹島は、完全に韓国に併合され、韓国化されていた。よく、「竹島は韓国に不法占拠されている」という。「不法占拠」という言葉のニュアンスには、デモ隊のバリケードとか、成田空港の滑走路に取り残された反対派の家屋とか、道路に放置された廃車とか、そういう「今は占有しているが、遠くない将来出て行く事を前提にしている」というニュアンスが含まれている。
しかし実際に竹島に行くと、韓国による「不法占拠」は、そんな生易しいものではないことが分かる。前述した構造物を始め、民間の寄宿舎、ロープウェイ、太陽光発電施設、観光客用の案内掲示板、住所表記、飲水ろ過装置etc…。ありとあらゆるものが整備され、完全に「韓国化」された竹島は、「不法占拠」などではなく、「併合」という表現が正しいと思う。
日本がどんなに「固有の領土」と訴えても、韓国の積み上げた既成事実を崩すことには至っていない。加えて、本日の「竹島の日」に関する式典がいまだに政府主催で開催されず、島根県という関係自治体の手によってほそぼそと実施されているという意識の低さは、韓国とは雲泥の差だ。韓国に行ってみれば分かるが、韓国の天気予報には必ず竹島の最低・最高気温、降水確率などなど諸々が表示される。韓国地下鉄のソウル市役所駅前の広場には、「”独島”」の特大ジオラマが展示されている。
韓国人一般に、言われるほどの強烈な「”独島”に関する愛着」があるかどうかは分からない。「”独島”」問題よりも生活や給料といった経済問題のほうが重要だ、と考える韓国人は少なくなかもしれない。ただし、それにしても、余りにも日韓で、竹島をめぐる意識の差は歴然としている。
しこたま竹島で写真をとった後、さいわい日本人であることも露見せず無事に鬱陵島に戻った私は、同島にあった「独島博物館」を見学、その足で韓国本土に渡り、当時オープンしたばかりのソウル市にある「独島体験館」も見学した。この二施設はいずれも韓国政府が国営で運営しているもので、韓国にある竹島関連施設の全てである。
前者の「独島博物館」は鬱陵島の山間に建てられた堂々たる近代施設であり、ロープウェイを使って鬱陵島の岬から望遠鏡で竹島が展示できるよう、「”独島”展望台」が整備されている。「”独島”グッズ」を売る売店まで併設されている。
一方、ソウルの「独島体験館」の方は、アニメーションCGやジオラマ、3D映画館、竹島切手や小地図の展示を併設した最新鋭の設備を誇り、現地の小中学生の学習見学コースに組み込まれていた。 他方日本は、前述のとおり「竹島の日」式典はもとより、竹島に関する施設は島根県庁の庁舎の中に申し訳程度に設置された「竹島資料室」しか存在しない。
日本政府が本腰を入れれば、東京や大阪に、韓国に匹敵する「竹島学習館(領土記念館)」などを設置・運営することは造作も無いことだが、それをやる機運も計画も存在していない。
私は韓国に行って、なによりも現政府の「やる気のなさ」を痛感し、そのことに怒りを覚えた。「竹島は不法占拠された~」などという、生ぬるいことを言っているようでは、「領土を放棄した」と捉えられても仕方がない。「竹島は韓国に併合されている」のが、正しい認識の出発点だろう。
それなしには、「竹島を返せ」などの一見威勢のよい掛け声は、空疎空論の、徒手空拳の構えに等しい。現実を直視せず「不法占拠」などという言葉のニュアンスで濁したところで、竹島問題は微動だに前進しないだろう。
だから私は以後、「韓国に不法占拠されている竹島」ではなく、「韓国に不法に併合されている状態」というニュアンスを強調するために、「不法占領」という表記を用いている。みなさんはいかが、お考えだろうか。 iRONNAより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年6月12日月曜日
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