相手を最大級の方法で威嚇して力を誇示しておきながら、不測の事態に遭遇するとその相手にすごすごと助けてもらう。出来の悪いコントみたい。
沖縄県石垣市の尖閣沖に公船と漁船を連日大量に派遣しながら中国漁船が大型貨物船と衝突して沈没すると、熱心に救助にあたったのは海上保安庁の巡視船でした。公船の姿はどこへやら。
東シナ海から目を転じた南シナ海では、フィリピン、ベトナムなど東南アジア諸国と対立、7月の仲裁裁判の裁定に逆ギレすると、当事国ではない米国を「黒幕」として、反米批判キャンペーンを展開。最近の唯一の“友”といわれた韓国には、米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム、高高度防衛ミサイル(THAAD)が配備されることとなり、「血で固められた友誼」といわれた北朝鮮ともすきま風。
向かうところ敵ばかり。やっぱりズレているとしか思えません。習近平氏って。いや、彼はカツラではないので、国際情勢認識という点においてですけれど。
中国国内では習氏の外交オンチぶりを清末の最高権力者であり、史上有数の女傑、西太后にたとえる論調が出ているそうです。
両者の共通点として挙げられているのは、
1、外国との緊張関係をつくることで、国内の矛盾転化や、対立解消につなげようとする政治手法
2、自国の実力を過大評価
3、周りを保守派で固め、国際社会の現実を正確に理解せず、常に甘い見通し
4、中国の伝統を必要以上に重要視し、民族主義をあおる。
おいの光帝と実権争いをしていた西太后は1900年、当時の清の実力を顧みず、外国人排斥を掲げる義和団を支持して、日米英仏露などに同時に宣戦を布告。しかし、北京と紫禁城は2カ月弱で制圧され、約1年後に調印された北京議定書で、清は途方もない賠償金を支払うはめになる。
西太后の場合、致し方ないところもあります。女性であるがゆえ国外はおろか、紫禁城の外へ出ることもままならず、外国を知ろうにも限界がありました。対する習氏は米国にホームステイしていた経験もあり、外国を知っているはずなのに。
しかし習氏と西太后の最大の違いは、欧米へ歩み寄る姿勢です。文化大革命に翻弄された家族史をつづった「ワイルド・スワン」などの著作で知られる中国人女性作家、ユン・チアン氏が書いた「西太后秘録 近代中国の創始者」(講談社)によると、西太后は、義和団事件の前も後も欧米の公使夫人らを招いた食事会、お茶会を度々持ち、直接交流をはかっています。
なかでも義和団事件の後は、「中国はゆゆしき過ちを犯しました。二度とあのような惨事が起こらぬようにいたします」と米国公使夫人らに謝罪しており、義和団事件前のお茶会では、招待客に供されたカップを自分の唇につけて相手に渡し、「みんなひとつの家族です」というパフォーマンスもしています。
人というのは、権力者の意外な親しみやすさ(演出されたものであっても)に心揺さぶられるもの。
ですので、9月に迫ったG20では、西太后外交にたとえられていることを逆手に取った、「西太后風お茶会」を開催し、「みんなひとつの家族です」と融和を演出してみてはいかがでしょうか。
お高いと思われている権力者の自虐ネタは万国共通で歓迎されること間違いなし、と思う次第です。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年8月15日月曜日
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