セットの中身は、「ジャム・ロール」「ストロベリー・ウエハース」「かりんとう」「カステラ」「かぼちゃの種クッキー」「チョコパイ」など30種類。すべて平壌市内の「金カップ総合食品工場」で製造された。
「パサパサでまずい」
金正恩第1書記は、これらのお菓子を製造する金カップ工場に対して、昨年と今年1月に現地指導して細かく指示するなど、並々ならぬ愛情を注いでいる。北朝鮮の各メディアも、同工場を大々的に宣伝していることから、「あの有名な金カップのお菓子を一度でいいから食べてみたい」と思う地方の党員もいるようだ。
そもそも、金カップ工場で製造されたお菓子は生産量が少ない。流通量も少なく地方の市場では見かけることはほとんどない。今回、党大会で配られることから、情報筋は「大事に抱えて田舎に持ち帰る人もいるだろう」と述べる。
一方、北朝鮮庶民の間で、金カップ工場のお菓子はそれほど評価は高くない。必ず比較されるのは韓国製の「チョコパイ」だ。元々、開城工業団地でおやつとして至急されていたチョコパイが、市場などを通じて流通して広がり、一時期は通貨代わりになるほどの大人気だった。
北朝鮮も「お菓子の韓流」に負けじと、独自に「チョコパイ」の生産をはじめたが「パサパサでまずい」と、ハッキリ言って評価は低い。
(参考記事:【食レポ】新登場の北朝鮮製チョコパイ…評判はイマイチ「パサパサでまずい」)
今回、金カップ工場で生産されたお菓子セットを大判振る舞いする裏には、「わが国のお菓子はこんなに美味しい」と宣伝する狙いがあるようだ。しかし実際のところ、庶民たちに「やはりまずかった」「わが国は韓国より遅れている」という認識を植え付ける逆効果を生みかねない。
荒唐無稽な噂も
また、配られたものが「お菓子」であることへの不満や落胆も予想される。 金日成時代に開催された党大会では、参加者にカラーテレビが配られていた。今回も一部からは「党大会で、みんなに45インチの高級液晶テレビ、冷蔵庫、パソコンが配られる」という荒唐無稽な噂が流れている。「高級家電だと思っていたのに、たかがお菓子セットか!」と落胆して、党大会開催自体への不満も出てくるかもしれない。 党大会の参加者にお菓子のセットを渡すとは驚きである。地域の子どもの催しでもあるまいし、お菓子でも北朝鮮の国民に取っては貴重品と言うことなのか。
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