2016年5月15日日曜日

「貧困層は死ね」と言うのか? 水道民営化の悲惨な現実

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南米諸国の「民営化」推進の陰にIMF(国際通貨基金)


IMFは、財政的に貧困な国の政府に、「国の非効率な公営事業を民営化すれば、公共料金がもっと安くなるうえにサービスも充実する」という甘言を使って世界銀行から借金をさせます。
そして、その資金で民営化を進めさせるのですが、そのときに入り込んでくるのが多国籍企業です。

理由は、「その国の企業にはない高度な技術を多国籍企業は持っているから」というものです。
最初のうちは確かに公共料金は下がるのですが、徐々にそれを吊り上げていきます。そして、国民が耐えられないところまで引き上げてしまうのです。<中略>
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IMFと世界銀行の「毒牙」にかけられた最貧国ボリビア

南米大陸最貧国のボリビアは、IMFと世界銀行の毒牙にかけられた典型的な国です。
世界銀行の融資を受け入れたボリビアは、ほとんどの公益事業を民営化させられてしまい、国民の生きる糧である水道事業までも民営化されてしまいました。

その結果、何が起こったのかというと、水道料金は以前の4倍に跳ね上がり、提供された水は細菌の入った不衛生なもので病気になる利用者が増えてしまったのです。サービスの質の向上と料金の引き下げは「」だったのです。

このボリビアの水道事業を丸抱えで請け負ったのが、あの悪名高いべクテル社です。べクテル社の株主は、ブッシュを始めとするネオコン政府の連中であることは世界周知です。

ボリビア大統領は、米国の甘言に乗った自分がバカだった、と気が付いたのですが、時すでに遅し。

ボリビアでは反政府暴動が活発になり、それを扇動しているのが米大使であることを突き止めたボリビアの大統領は、この米大使に国外退去を命じました。

闇金まがいの高利貸しに金を借りたばっかりに、家庭の中は荒られてしまい、さらにその闇金業者は子供(ボリビア国民)をそそのかして、一家の主(あるじ)の権威を失墜させて家ごと乗っ取ってしまおうと画策していたというわけです。

事実、IMFと世界銀行は、すべての発展途上国に対して、電気や水道、電話、ガスといった国有インフラの売却を融資の条件としてきました。これらは推定4兆ドルの公有財産になります。

今では、ボリビアだけでなく、南米の国々がIMFと世界銀行によって破壊されつつあるのです。獰猛なグローバル・エリートによる南米支配は確かに着々と進められています。

金のないヤツには一滴の水も飲ませない!ボリビア「水戦争」

10年前の4月、ボリビアのコチャバンバで、同市において最も重要な天然資源の1つである水をめぐり、歴史的な争いが起こりました。この「水戦争」はシアトルのWTO抗議行動から数ヵ月後に発生した出来事でした。

コチャバンバ市の路上で起こった米ベクテル社に対する暴動は、企業のグローバリズムに対する国際的な抵抗運動を象徴するものととらえられました。

「金のないヤツには水を飲ませない!」こんなことが現実に世界の途上国で起こっているのです。
1999年、世界銀行はボリビア政府に、ボリビアで3番目に大きい都市、コチャバンバ市の公営水道会社「SEMAPA」を民営化させる計画を押し付けました。

もし民営化すれば、適切な料金で水道配管の敷設や水の供給を行うことが可能になる上、600万ドル(当時の日本円での7億円)の多国間債務(借金)を免除してやる、という条件をボリビア政府に提示したのです。

水道インフラの整備がままならず、借金に喘ぐボリビア政府は、しぶしぶ「飲料水及び衛生法」という法律を作り、コチャバンバ市の公営水道事業を民営化したのです。
まず、公営水道会社「SEMAPA」を民間企業に改組。 その後、水道事業のノウハウを持つ米国最大の建設会社ベクテル社の子会社アグアス・デル・ツナリ社が実際の運営を引き受けました。ボリビア政府にベクテルを推奨してきたのは、ほかならぬ世界銀行でした。

世界銀行の言っていた「適正な料金で市民に水道水を供給できる」というのは、真っ赤なウソで、結果は水道料金が以前の倍以上に跳ね上がり、水道料金を払えないどころか、食事さえも満足にできない家庭が続出したのです。

アグアス・デル・ツナリ社は、なんと、支払い不能者には容赦なく水の供給を停止し、さらに、自分たちの管理下に置いた井戸水の安い料金までも引き上げたのです。人間は命を維持していくには水を摂取していかねばなりません。

水道水、及び井戸水の料金を払えない人々は浄水されていない水、汚染された水、腐敗水などを飲むことしか許されず、その結果、バタバタと倒れ死に至り、尊い命が次々に奪われていったのです。こうしてボリビアでは、べクテル社による大量殺人が合法的に平然と行われたのです。

「水は神からの贈り物、商品ではない」市民の反撃

水道事業が民営化された翌2000年1月に、「水と生活を防衛する市民連合」が結成され、大衆の運動によりコチャバンバ市は4日間機能停止に追い込まれました。

翌月の2月に、市民は 「水は神からの贈り物であり商品ではない」というスロガーンを掲げ平和的デモを行い、それに賛同した何百万人もの国民がコチャバンバ市を行進しました。それは、ますます大きなうねりとなるばかりだったので、とうとうボリビア政府は水道料金の値下げを約束したのです。

しかし、ボリビア政府は水道料金の値下げの約束を守らず、その年の4月にIMF(国際通貨基金)と世界銀行、米州開発銀行に圧力をかけられて政府は戒厳令を布き、抗議の沈静化を図るようになったのです。
(「緊急事態条項」という言葉が、頭の中を横切りませんか?)

政府による沈静化では、抗議する市民や活動家たちを逮捕し9名を殺害。約100名がひどい怪我を負わされた他、数十名が逮捕され、メディア規制がしかれるという、信じられない弾圧が行われたのです。

しかし、このような不当な弾圧が長く続くはずがなく、IMF(国際通貨基金)と世界銀行に盲目的に従ったバンセル政権は転覆しかけます。結果、市民は勝利を手に入れたのです。
Democracy Now!

後に残ったのは膨大な借金と賠償金

とうとう40年間に及ぶ水道民営化の契約は破棄され、はてさて、水道事業が公共事業SEMAPAの手に戻ったのはいいのですが、開発費の借金と、水道配管設備の工事代金など膨大な借金が市民に負わされたのです。

その上、ボリビア政府は契約破棄料の2500万ドル(約25億円)の賠償金をまで要求されたのです。

「民営化すれば、インフラ整備が進み、多くの人が水道水を飲むことができる。これはいいことだから、そうしなさい」と騙しておきながら、実際は水道代が払えないほど料金が上がり、死者が続々と出たのです。すると、世界銀行とIMFは政府に暴力を持って市民を制圧するように“アドバイス”したのです。
ボリビア水戦争 ~水と公共事業は誰の物か~

フィリピンの「水道民営化」に長期融資、アジア開発銀行の罪

フィリピンのマニラ市も、水道事業の民営化に踏み切りましたが、結果は、ボリビア同様、水道料金が民営化前の4~5倍にも跳ね上がったのです。マニラ市民は、「まんまといっぱい食わされた」ことを悟ったのです。
フィリピンのMWSS民営化の呪い:民間経営の失敗と労働者の災難[PDF]
ここにも悪の多国籍企業・べクテルが進出してきました。

フィリピンのマニラでは、水道を使えない人に水を売ったり分けたりすることさえ禁じられ、公園などの今まで無料で水を飲むことができた公共水栓も使用できなくされてしまったのです。

発端は、1997年8月、ラモス政権下のフィリピン政府が、世界銀行の提案を受け入れて、首都・マニラの水道事業を民営化したことです。

マニラを東西のエリアに分けて、西側のエリアはフランスの水企業大手スエズ(現在はオンデオ)に委託され、マニラの東地区の水道事業民営化には、イギリスのユナイテッド・ユーティリティーズ(United Utilities)とアメリカのベクテル、日本の三菱商事が参加することになりました。

世界銀行、アジア開発銀行(ADB)は、水事業の効率化を謳って、これらの事業に多額の長期融資を行ったのです。

市民グループは、水は公共財であり、公共機関が管理すべきものであるとして、公営水道事業の民営化を批判してきました。

水は生命維持に不可欠の物質であり、金持ちも貧乏人も等しく水に対する権利を有しており、したがってこの権利は民間セクターの利益追求の対象とされるべきではないという理由からでした。
そうした反対を他所に、フィリピン政府は水道事業の民営化を強行した結果、マニラ西地区の水道料金は、公営のときの4倍に跳ね上がり、マニラの東地区に至っては5倍にも高騰してしまったのです。

水道インフラの工事は投資効率の良い地区=一定の人口密度があって中流以上の人々が住んでいる地区が優先され、貧困層では、いくら人口が密集していても、水道インフラ工事は行なわれなかったのです。

事実、低所得者層のパローラ集落の3,000世帯(人口の40%近く)が、民間水道にアクセスを許されなかったのです。彼らには水道メーター設置のための初期費用4000ペソを支払う金がなかったからです。

こうした地区にインフラ投資を行っても回収できないと踏んだ民間水道事業者は、水道管の敷設に同意しなかったのです。

さらに悪いことに、その民間水道事業者は水道が届いていない人々に水を分けたり、売ったりすることまで禁じてしまったのです。

以前は公園などの「無料で」水を供給していた公共水栓もまた、民営化されてから使用を禁止されてしまいました。文字通り、「貧乏人は水を飲むな」という世界ができ上がっているのです。

アジア開発銀行(ADB)は、本部をフィリピンのマニラに置く67ヵ国の加盟国からなる国際開発金融機関です。

日本は、その設立準備段階より参画する原加盟国で、米国と並んで最大の出資国となっています。

設立の目的は、「貧困層に配慮した持続可能な経済成長や社会開発、グッド・ガバナンスを通して、アジア・太平洋地域における貧困削減を目指す」という建前になっています。

マニラの貧困層から水さえ取り上げてしまう「民営化」という事業に長期融資を行ったアジア開発銀行(ADB)は、当初の理念とかけ離れたことをやっているようです。

つまり、「貧乏人は死ね」ということ(一部、「マニラの水道民営化の失敗」から引用)。詳しくは「日本の水道をすべて多国籍企業に売り渡す自民党」をお読みください。

IMFと世界銀行による世界支配、スティグリッツ教授の懸念

ここに世界銀行とIMF(国際通貨基金)の隠された陰謀について暴露した人物がいます。
ジョセフ・E・スティグリッツ(Joseph E. Stiglitz, 1943年2月9日 – )米コロンビア大学教授が、その人です。

彼はアメリカ人の経済学者で、1979年にジョン・ベーツ・クラーク賞、2001年にノーベル経済学賞を受賞しました。現在における最も活動的かつ影響力のある経済学者の一人と言われている人物です。

そういえば、スティグリッツ教授は、今年の3月16日、安倍内閣が主宰する消費税引き上げの最終検討を行うための国際金融経済分析会合に招かれ、いくつかの提言を行いました。
スティグリッツ教授が日本側に提言したのは、「TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、米国議会で批准されないであろう」ということと、安倍首相に直接、「アベノミクスを停止し、経済政策を180度転換することによって、7月のG7サミットで主導権を取るべきである」とアドバイスしたことの2点でした。

スティグリッツ教授は、グローバリゼーションに反対はしていませんが、世界の富を独占しているグローバル・エリートが進めようとしている世界市場の単一化には強く反対しています。
スティグリッツ教授による、グローバル・エリートがコントロールしている世界銀行の目的と、その主な手口とは、
1)民営化を薦めて、相手国を破綻させる
破綻した国の資産を売却するとき、10%のワイロをとっている。それはスイスの銀行の秘密口座へ入れられる
2)資本市場の自由化の強制
オフショアへの資金移動について課税することを認めない。
3)価格決定の自由化
物価が上がり、参入外国企業は暴利をむさぼることができる。
4)自由貿易
「救済」という甘言に乗せられた国が、口をさしはさむことを許さない。
の4つで、これが世界銀行による世界の市場支配戦略の柱になっています。
1)と2)は説明不要でしょう。今まさに、パナマ文書の流出によってタックスヘイブンの闇の一端が解き明かされようとしています。スティグリッツ教授は、世界銀行自体がタックスヘイブンを利用している、と言っているのです。
2)~4)は、まさにTPPのことです。特に4)はISD条項のことを言っています。

IMFと世界銀行という「温厚な二人の紳士」は、通貨危機や飢餓に苦しんでいる国の背後から静かに近づいて、「あなたの悲痛な顔を見るに忍びない。私たちが助けてあげましょう」と囁くのです。
その誘いに乗ったが最後、法外な金利で金を貸し付つられたり、貸付の条件として国民のライフラインである水道やガス事業を国営から民営に移せ、と迫ってきたりするのです。

水道事業、ガス事業などのエネルギー事業は、何より安全性と安定供給が求められるはずです。本来、競争原理になじまない、こうした公益事業を解体させて民営化を迫るのです。

これは、今現在、ウクライナで実行されていることです。

そして、時には、自分たちの資本を注入して支配するために財閥解体などの荒療治もやってのけます。近年では韓国がいい例です。

この「条件付融資」によって国家の解体を進める計画のことを「構造調整プログラム」といいます。

IMFの「構造調整プログラム」という毒薬

構造調整プログラムは、開発途上国のマクロ経済政策を改善するとともに、なるべく政府の介入を少なくし、民間セクターの活力により所得の向上を促すことで開発問題に対処する考え方です。
このプログラムの実施に向け、1980年代より、IMFと世界銀行を中心として、国際社会は発展途上国に対して、多様な“支援”を行いました。
「融資の効果を阻害するような政治状態の国」には、「政策改善」を条件にした融資を行うようになった。この際に、対象国に課せられる要求のことを「構造調整プログラム(Structural Adjustment Program)」と呼ぶ。
このIMFの構造調整プログラムにより、アフリカや南米、アジアなどの発展途上国では、様々な経済問題(失業など)が発生し、 社会が混乱に陥ったという見解が多い。
出典:国際通貨基金 – Wikipedia

いったん、IMFの構造調整プログラムを受け入れると、民営化された水道事業、ガス事業などは利潤の追求を優先するようになって、水供給サービスの急激な質の低下を招き、住民には、マズイ水や火力が不安定なガスが供給されるようになるのです。

「民営化」とは名ばかりで、自由競争とはいうものの、IMFや世界銀行の息のかった業者への随意契約によって委託されますから、水道料金などは好き放題にぐんぐん吊り上げられたりします
競争とは名目に過ぎず、実質は独占です。

2014年、日本政府は「ウクライナの復興のため」という名目で、最大約1,500億円の支援を実施すると発表しました。

これは、「IMFなどを中心とした国際的な支援枠組みの下、世界銀行による支援と連携しながら、ウクライナの経済改革に必要な資金を各国・機関との適切な分担の下で供与する」というものです。

これこそが、IMFの構造調整プログラムです。

早くもウクライナは世界銀行からの融資返済のめどが立たなくなっています。

ここ数年、国際社会も「構造調整プログラムは、その効果が非常に限られていた」と批判されるようになっており、見直しを迫られています。にもかかわらず、構造調整プログラムは生きているのです。そして、日本政府もそれに協力しています。

こうしたことはジョセフ・E・スティグリッツの『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』に詳しく書かれてあります。

消費税の増税を執拗に日本政府に迫るIMFの魂胆

2010年、民主党の鳩山政権から菅直人の政権に移ったとき、菅首相は「みなさんは、IMF(国際通貨基金)が日本に乗り込んできてもいいんですか」と街頭演説で叫んだことがありました。
IMFは、日本への「年次報告書」で「2011年度から段階的に消費税を引き上げるべき」と財務省に本腰を入れて迫ってきたのです。そのとき、国民の多くは唖然とさせられ。
MONEY VOICEより

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