2016年5月15日日曜日

韓国の労災死亡率は日本の3倍超だった! “殺人企業”のワーストランキングは財閥系企業が続々と

“最悪の殺人企業”は韓国化学大手ハンファケミカル-。韓国の大手労組など市民団体が4月、「2016年殺人企業」のランキング10社を発表した。殺人企業という、いささか過激なレッテルはさすが“お国柄”といえるが、労働災害による死亡事故減を目指す、いたってマジメな取り組みだ。背景には、経済協力開発機構(OECD)加盟国でも最悪水準の労災死亡率や、それに反して軽微な企業の処分など、韓国の産業界が抱える構造的な課題がありそうだ。

爆発事故で下請け作業員ら6人が死亡「重大災害の企業処罰法が必要だ」

4月28日の労災犠牲者追悼の日に先立ち、27日にソウル市内で開かれた「ワースト殺人企業選定式」で、弁護士のガンムンデ氏はこう訴えた。

2016ワースト殺人企業ランキングは、労働健康連帯や毎日労働ニュース、大手労組の民主労総、韓国労総などで組織する「労災死亡対策制定共同キャンペーン団」が、昨年1年間に発生した死亡労災事故件数に基づきまとめたものだ。ワースト1となったハンファケミカルは昨年7月、蔚山工場で発生した爆発事故により下請け労働者6人が死亡する事故を引き起こした。

事故により、無資格請負業者に施工を任せたほか、安全点検も形式だけのずさんな作業実態など、300件近い法令違反が判明。蔚山地検は13人を起訴する事件となった。だが、起訴された同工場長は執行猶予で釈放され、法人に対する処罰もわずか罰金1500万ウォン(約142万円)にとどまった。

ランキング2位には、死亡労災事故で5人が死亡した韓国鉄道公社や、2件の火災事故などで5人が亡くなった大宇造船海洋など4社が同数で並んだ。3位にはKTX工事現場の崩壊事故や、補修工事中の下請け労働者が列車にはねられるなどし4人が亡くなった韓国鉄道施設公団や、半導体大手SKハイニックスなど4社が選ばれ、政府系企業や財閥系企業の問題が浮き彫りになった。

同キャンペーン団は声明で、ハンファケミカルの事例を挙げ、社会的な影響力の大きい財閥企業の労災事故に対し、あまりに軽い処分だとして「労災死亡は、企業による構造殺人」だとし、企業や政府官僚に組織的責任を問うための「重大災害の企業処罰法」が必要だと訴えた。

韓国財界に「特別賞」、進む危険の外注化

また、ランキング外で韓国最大の経済団体、全国経済人連合会(全経連)が「特別賞」に選ばれた。2005年から14年までの10年間で、労災死亡者数の上位50社のうち約8割にあたる39社が全経連所属の大手企業であることに加え、派遣雇用の拡大や解雇規制の緩和など、「労働者を死に追い込む緩和を強力に要求した」のが受賞理由だ。

確かに過去10年間の労災死亡者数ランキングを見ると、首位の現代建設(死者110人)、2位の大宇建設(102人)、LGグループから分離した財閥系企業のGS建設(101人)と財閥系企業が続く。5位には現代重工業(74人)、6位にサムスン物産建設部門(69人)が入ったほか、15位の現代自動車(45人)▽32位のLG電子(25人)▽33位の起亜自動車(23人)▽36位のサムスン電子(21人)-など、日本でも知名度の高い企業が軒並み、名を連ねている。

また同キャンペーン団は、こうした全経連所属の大企業が、労災保険の適用を回避するため、労災の恐れがある危険な現場業務を下請けに外注するケースが増加していると指摘。3年間の労災保険の給付実績をもとに、労災申請が少なければ保険料を減免する特例措置により、全経連所属の33社が2612億ウォン(約250億円)の軽減措置を受けたとして、韓国労働市場に広がる構造的なゆがみの是正を求めた。

労災死亡率、日本の3倍…労働安全“途上国”

こうした労組や市民団体の主張の背景にあるのが、韓国における死亡労災事故の深刻さだ。同キャンペーン団がまとめた政府統計に基づく韓国の労災死亡者は、01年~14年までの間で3万3902人にのぼる。年間平均で2400人の犠牲者が出ていることになる。こうした労災死亡者には出退勤時の災害による死者や貨物輸送、バスなど特殊雇用労働者は含まれていないという。

韓国産業安全保健公団(KOSHA)によると、韓国の年間労働者数1万人当たりの死亡者数の割合を示す労災事故死亡率は、12年基準で0.73となった。日本(0.20)や米国(0.35)、ドイツ(0.17)など主要先進国に比べて極めて高い値となっている。日本の3倍、ドイツの4倍近い労災死亡率は、OECD加盟国でもトップレベルだ。

こうした実情に、韓国内でも「労働安全途上国」「途上国型安全事故」など、安全軽視に対する批判の声は根強い。死につながる重大な労働災害を防ぐためには、企業・組織から就業者一人一人に至るまでが、具体的な対策を講じ、取り組みを継続する必要がある。「殺人企業」のランキング公開で、法整備につなげることも重要だが、それ以上に地道な施策の積み重ねが必要ではないだろうか。  産経ニュースより

安全という言葉は、韓国では死語になっているみたいである。人命より金儲けを優先する国なのだろうかと思う。このような国で働く労働者は使い捨てみたいなものじゃないのか。安全を優先してこそ、企業として当たり前のことが韓国では当たり前ではないみたいである。

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