2017年12月21日木曜日

ケタ違いの精度、日本版GPS「みちびき」の実力

まもなく、ITによる「位置情報」の使い方が大きく変わり始める。日本が打ち上げた新しい人工衛星システムの本格運用が2018年から始まり、衛星を使って現在地を割り出す測位の精度が大幅に高くなるからだ。
 
メディアに「日本版GPS」と呼ばれることもある、この衛星システムの名前は「みちびき」。様々な分野のIT活用に変化をもたらすと予想されており、既にこの衛星を活用する装置やシステムの実証実験や研究開発に着手している業界もある。
みちびきのCG画像。これは2号機と4号機のものである
(画像提供:内閣府宇宙開発戦略推進事務局)
[画像のクリックで拡大表示]

本特集ではみちびきの概要を押さえたあと、いくつかの実証実験事例を通じてみちびきがIT機器やITシステムをどのように変えていきそうかを見ていく。

みちびきは「準天頂衛星システム」、あるいは「QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)」と呼ばれることもある。用途はGPS(Global Positioning System)と同様で、衛星を使って現在位置を割り出す測位だ。現在1~4号機の4機が打ち上げられており、2023年度をめどに7機体制とする計画だ。

その特徴は、何と言っても測位できる位置の精度の高さである。使い方によっては、わずか数cmの誤差で位置を特定できる。GPSの測位は誤差数mレベルなので、まさに桁違いである。この精度の高さがIT活用をどう変えるか、それが最大の注目どころだ。

2018年に本格運用が始まる

最初に、みちびきとGPSの関係を整理しておこう。

世界には測位に使う衛星システムが複数ある。GPSとは、このうち米国が運用しているものだ。そして、日本が運用しているのがみちびき(準天頂衛星システム)である。このほかロシアのGLONASS、欧州のGalileo、中国のBeiDou、インドのNAVICなどがある。
主な衛星測位システム
(内閣府配布資料を基に作成)
[画像のクリックで拡大表示]

打ち上げ済みの4機の軌道は2通りある。日本の真上に長くとどまる「準天頂軌道」をたどるのが1、2、4号機。3号機はBS衛星などと同じく、日本から見て低空または上空にいない位置にとどまる「静止軌道」をたどる。準天頂軌道をたどる3機は、日本のほぼ真上に約8時間位置する。3機が交替で日本の真上に来るようになっており、24時間いずれかの1機が真上に見える形となる。ITproより
みちびきには2種類の軌道がある
(内閣府配布資料を基に作成)
[画像のクリックで拡大表示]

0 件のコメント:

コメントを投稿

日産ケリー前代表取締役の保釈決定 保釈金7000万円 東京地裁

金融商品取引法違反の罪で起訴された日産自動車のグレッグ・ケリー前代表取締役について、東京地方裁判所は保釈を認める決定をしました。検察はこれを不服として準抗告するとみられますが、裁判所が退ければ、ケリー前代表取締役は早ければ25日にもおよそ1か月ぶりに保釈される見通しです。一方、...