(左) 自己治癒の様子。完治まで最速1分。
(右) ネットワーク状に配置された酸化マンガン(緑)が治癒を促進。
本研究グループは、自己治癒セラミックスにき裂が入ると、き裂から侵入した酸素と、セラミックスに含まれる炭化ケイ素が反応して二酸化ケイ素が合成され(炎症)、セラミックスの母体であるアルミナと二酸化ケイ素が反応してき裂を充填し(修復)、結晶化して強度が回復する(改変)という三段階で治癒が進むことを明らかにしました。さらに骨の治癒を促進する体液ネットワークをヒントに、セラミックスの治癒を活性化する酸化マンガンを、アルミナの粒界に極微量配置することで(上図参照)、従来材では1000℃で1000時間かかっていたき裂の治癒時間を、最速1分程度で完治させることに成功しました。
本研究成果をもとに、治癒活性相の種類を適切に選定することで、優れた自己治癒機能を自在に付与した、「割れが入っても壊れない」革新的高温用セラミックスの開発を目指します。
本研究は、物質・材料研究機構 構造材料研究拠点の長田 俊郎 主任研究員、原 徹 グループリーダー、阿部 太一 主幹研究員、大村 孝仁 副拠点長、同国際ナノアーキテクト研究拠点の三留 正則 主席研究員と、横浜国立大学 大学院工学研究院の中尾 航 教授らの研究チームによって行われました。また、本研究は、日本学術振興会科研費若手(B)(No.JP24760093)、JST 先端的低炭素化技術開発(ALCA)実用技術化プロジェクト、ならびに文部科学省受託事業ナノテクノロジープラットフォームの支援を受けて行われました。
本研究成果は、Scientific Reports誌のオンライン版に英国時間2017年12月19日10時(日本時間19日19時)に掲載されました。
横浜国立大学より
0 件のコメント:
コメントを投稿