■光を音に変える理由とは画像は「Nature Communications」より引用
光を音に変える新技術を発表したのは、オーストラリア・シドニー大学のナノテクノロジー開発拠点(AINST)の研究チームだ。量子力学を応用する光コンピュータは、現在の電子工学を基にしたコンピュータに比べ、超高速でしかも低電力という夢の技術であるが、その実現には多くの課題が存在する。そのうちの一つが、データを担う光子の速さだった。光子はマイクロチップ上を光速で移動するが、現在の技術では速すぎて処理が困難なのだ。研究チームはこの課題をクリアするため、光を音にして速さを遅くするという奇策に打って出たのである。
■開発者「稲妻と雷鳴の違いのようなもの」
この技術ではまず、データに含まれる光のパルスと書き込み用のパルスをチップ上で相互作用させ、音波を発生させる。これによってチップ上にデータが保存され、読み出しなどの処理が可能となる。音に変化したデータは光の状態よりも5桁は遅いスピードになるが、音波になったデータは速すぎず、現在のマイクロチップの処理速度でも十分に取り扱えるスピードになるという。開発者らはこの違いを雷の音と光にたとえている。
音波データは情報処理されたのち、速やかに光の状態に戻される。読み出し用の光のパルスをチップに入力すると、このパルスは音波によってデータを書き込まれ、再び光としてチップから送信される。すなわちデータは再び光速で通信されるのである。
トカナより
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