今年のノーベル文学賞受賞が決まった長崎市生まれの日系英国人作家、カズオ・イシグロ氏は5日夕、ロンドン市内の出版社で記者会見し、「全く予想していなかった。大変名誉な賞をいただけ、とても光栄だ」と喜びを語った。また安倍晋三首相はじめ日本でも多くの人が祝意を示してくれたことにも言及し、「私の一部は、いつも日本人。多くのファン、読者に心から感謝したい」と述べた。
受賞の知らせは自宅のキッチンでランチを食べながら電子メールを打っているときにエージェントから知らされたと告白。「全く予期せぬ出来事でフェイクニュースがはやっており、冗談かと思ったが、その後、英BBC放送からの問い合わせがあり、事実だと知った」と述べた。
さらに、昨年、英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた際、残留派を支持するコメントを出したことがあるイシグロ氏は英国のEU離脱を念頭に、「われわれは今、価値観や(政治家などの)指導力が不安定な時代にいる。偉大な名誉を受けることが、親善と平和を求める人たちの何らかの助けになることを願っている」と述べた。
長崎市で生まれて5歳から英国で育ち、現在は日本語を話せないが、「両親は日本人で家庭では日本語を話しており、私は自分の中の日本、日本人の部分を常に感じてきた。私の世界観には日本が影響している。私の芸術的アプローチの大部分は、日本的なもので、それは初期の作品で描いている」と述べた。
さらに「5歳から(英国で)一人だけ周囲と(人種や風貌が)違うと感じたことが大きい」と語り、幼少時に英国へ移住した経験が作家活動に影響を与えたとの見方を示した。
また過去にノーベル文学賞を受賞した川端康成氏と大江健三郎氏の名前を挙げ「同じ歩みの中にいることに感謝したい」と語るとともに、「(一方で)他の偉大な作家が受賞をしていないので少し罪悪感を覚える」とも述べ、村上春樹氏の名前を挙げた。
イシグロ氏は影響を受けた作家としてフランツ・カフカを挙げ、「技術的にも演劇的にも多くの可能性を切り開いたカフカに注目してきた」と語り、「プルーストを読んで以来、自分の書き方が変わった。物語を記憶を通じて語るという方法を示したからだ」と述べた。
さらに「私は日本人の背景と英国人の背景を持っている。日本の作家でも英国の作家でもない普遍的なインターナショナルな視点を持つ作家ということで今回評価されたのだと思う」と自己分析した。 産経ニュースより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年10月6日金曜日
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