米国の軍事制圧はどんな形となるのか?
米軍情報に詳しい軍事問題専門家の惠谷治(えや・おさむ)氏は、北朝鮮はすでに米国のレッドライン(越えてはならない一線)を越えた、とみる。
あらゆる手段で攻撃
国連総会のトランプ氏演説と、これを完全拒否する金正恩氏の“決裂宣言”で事態は米朝首脳対決という前代未聞の局面に入った。危険水域に入った今後の展開は北朝鮮の挑発の度合いにかかっている。
「トランプ演説では米が“交渉のテーブル”につくことはあり得ないことがはっきりした」と惠谷氏は語る。北朝鮮が譲歩しない限り「軍事オプションしかない」との米国の最後通告が示された、というわけだ。
惠谷氏によれば、作戦は米太平洋軍主体で南北軍事境界線(38度線)以北の南に向いた約1万2千門の砲弾や主要ミサイル基地などを巡航ミサイル、爆撃機、潜水艦、イージス艦、空母打撃群など、あらゆる手段を使う一斉攻撃。第一撃の標的は約1500カ所で、第2、第3と波状攻撃をかけるものという。
米韓で半島有事に備えて訓練してきた「作戦計画5015」や「作戦計画5029」とは別の米独自作戦であるため韓国軍は参加しない。日韓への通告は直前となる。特に韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権への通報は「親北のため直前にするのではないか」(惠谷氏)。
反撃を封じる作戦は敵側の戦力をそぐ最初の1~2日が勝負。ミサイル基地、レーダー基地、保管庫などが目標で、最高司令部などは後回しになるという。
「すでに戦争準備」
北朝鮮は自国の核戦略について「最終段階」としており、「完成した」とは言っていない。これは核弾頭の小型化のことを指すとみられる。
一方で大陸間弾道ミサイル(ICBM)は火星14号(射程1万キロ)の発射がロフテッド軌道で成功しているため、すでに米本土に届く能力を保持した。残るはワシントンまで届く射程1万2千キロの火星13号の発射実験だ。
「ロサンゼルスが射程に入った。つまりもう米国のレッドラインは越えている。核弾頭が完成したら遅いという意味では、いまが攻撃のチャンス。現状では時間は敵の味方だ。時間稼ぎの対話はあってはならない状況まできている」。惠谷氏はこう指摘し、「米国はすでに戦争準備に入ったとみる」と付け加える。
しかし、米国が何をもって攻撃に転じるのかや、いつ日本に通告するかは不明だ。
トランプ氏と安倍晋三首相の会談ではどこまで話し合われているのか。国連演説で安倍首相は「脅威はかつてなく重大。目前に迫っている」「必要なのは対話ではなく圧力だ」と述べており、米国から何らかのサインを受け取っている可能性もある。
北の核はどうなる?
問題は北朝鮮の保有する核兵器の捕獲・破壊だ。惠谷氏は「北朝鮮では核兵器は国家保衛省(秘密警察)が管理している」とみる。これは旧ソ連方式で、北朝鮮軍は軍管理を旧ソ連式で行うことが多いからだ。
核兵器は山岳のトンネル内に保管されているとみられ、「米軍は大部分を把握し番号をつけている。一斉爆撃ではトンネルの入り口をたたく」(惠谷氏)とみられるが、保管場所のすべてを米軍は捕捉しているかは不明で、最終的には韓国軍など地上部隊が確認するしか方法がないという。産経ニュースより
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