「政策協定書にサインする時、まず10回深呼吸した。そして鼻をつまんで一気に名前を書きあげたんだ」
民進党から希望の党に移る予定の前衆院議員は10月2日、筆者の取材に対して吐き捨てるようにこう言った。前議員がサインしたのは、希望の党に提出する「政策協定書」。民進党は10月1日夜、各都道府県連に連絡し、所属の次期衆院選立候補予定者に、この事実上の血
判状の提出を求めた。
送付の締め切りは10月3日午前9時。この政策協定書の提出が、希望の党が午後に発表する公認リストに選ばれるための条件とされる。
政策協定書には、いったい何が書かれているのか。書かれているのは、以下の10項目だ。
■政策協定書の生々しい内容
1.希望の党の綱領を支持し、「寛容な改革保守政党」を目指すこと。
2.現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法に則り適切に運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。
3.税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)を徹底し、国民が納める税の恩恵が全ての国民に行きわたる仕組みを強化すること。
4.憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。
5.国民に負担を求める前に国会議員が身を切る改革を断行する必要があること及びいわゆる景気弾力条項の趣旨を踏まえて、2019年10月の消費税10%への引き上げを凍結すること。
6.外国人に対する地方参政権の付与に反対すること。
7.政党支部において企業団体献金を受け取らないこと。
8.希望の党の公約を遵守すること。
9.希望の党の公認候補になるに当たり、党に資金提供をすること。
10.選挙期間が終了するまで、希望の党が選挙協力の協定を交わしている政党への批判は一切行わないこと。
■8項目のオリジナル版はもっと露骨だった
ここで奇妙なのは第9項と第10項だ。「党に資金提供をすること」や、「選挙協力協定を交わしている政党への批判を行わないこと」を約束することが果たして政策協定書に含まれるべき事項なのか。
しかも「政策協定書」には、8項目で構成されたオリジナル版(最終版と比べると第5項と第10項に相当する内容が入っていない)があった。そのオリジナル版では、第7項に「本選挙に当たり、党の指示する金額を党に提供すること」と記されていた。「これでは、さすがに表現があまりに露骨で下品」との批判があったことから訂正された経緯があるようだ。
「いったい希望の党は、政党としてきちんと機能するのだろうか」。冒頭で述べた前議員は、今でも希望の党に疑念を持っていると述べる。それでも9月28日に開かれた両院議員総会で希望の党に行くことを決した以上、希望の党に行かざるをえないと溜息をついた。
一方で希望の党に参加しないことを表明した枝野幸男元内閣官房長官は10月2日夕方、新党結成を発表した。枝野氏は同日、民進党へ離党届を提出している。
「私は日本の国民の生活の安心、立憲主義、民主主義、自由な社会、それをしっかりと守っていくために、立憲民主党を結成することを決意いたしました」
ひとことひとこと噛みしめるように、枝野氏は宣言した。
そもそも「立憲民主党」は2016年3月に民主党と維新の党が合流して党名を変える時、最有力候補だった名称。結果的にはネット投票により維新の党側が推薦した「民進党」に決まったが、その決定過程に不満を持つ関係者は多かった。よって国会議員の間でも「民進党」の党名はおおむね不評で、党勢の衰退の一因とする人もいたほどだ。
「立憲民主党」の略称は「民主党」。これは、かつての党名と同じだ。選挙間近の新党結成ゆえ、長年親しまれた名称にしたのだろう。
そして枝野氏には「積み重ねた民進党の理念や政策は、自信を持っている。これを国民のみなさんに訴えて、選挙を戦う」と意気込んだ。つまり、枝野氏には民主党・民進党の正当な後継者との自負がある。2日午前にはさっそく連合の神津里季生(こうづ りきお)会長と面談し支援を求めた。「『是非ご支援をいただきたい』と言い、賛同してもらった。そういうふうに理解している」(枝野氏)。
今回の総選挙の目的は安倍政権を倒すこと。枝野氏は「それをやらないと先に進まない」と断言する。
■続々と立憲民主党に合流
そんな枝野氏の姿を、会見会場の後方で眺める2人のテレビ業界出身の参議院議員がいた。神奈川選挙区の真山勇一参議院議員と長野選挙区の杉尾秀哉参議院議員だ。
真山氏は筆者の電話取材に対し、「立憲民主党に参加するかどうかはまだ決めていない」と答えた。真山議員だけではない。他の多くの参議院議員も、今後はまだ未定とのこと。
だがすぐに選挙がない参議院はともかく、選挙が間近に迫る衆議院はそうはいかない。無所属で戦う宣言をしていた逢坂誠二前衆議院議員は、さっそく合流を表明。赤松広隆元農水相や阿部知子前衆議院議員なども参加を表明している。
かたや、野田佳彦元首相や岡田克也元副総理は、次期衆議院選では新党に合流せずに無所属で出馬を宣言。彼らは選挙に強く、独自で勝つ見込みは十分。よって政党の看板に頼る必要はない。選挙後のことは明かされていないが、おそらくは立憲民主党に合流するのではないか。意外と立憲民主党は、大規模なものになるかもしれない。衆議院で希望の党から排除された人たちに参議院のメンバーを加えると、50名以上は集まる可能性がある。
日本共産党の志位和夫委員長は立憲民主党の結党を受けて、「共闘の大義に立つ方々の動きを歓迎します。逆流を乗り越えることができれば、市民と野党の共闘はさらに強く、確かなものになることは間違いありません。ここが正念場です」とツイッターに記している。そもそも野党が奪い合うのは浮動票と反自民党の票で、政府自民党・公明党の固定支持票は始めから野党には投じられることはない。3極となった今、風はどの極に吹くのだろうか。 infoseek newsより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年10月3日火曜日
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