「より良い機会と文化を求めてやってきた」
IT企業が集積するシリコンバレーの会社で財務マネジャーをしている、インド南部出身のアシュウィン・ナラインさん(30)はこう話した。
大学卒業後に渡米し、MBA(経営学修士)を取得。順調にキャリアを伸ばしてきたが、トランプ政権となってから雲行きが怪しくなってきた。インド人の友人らとの会話でも話題になるのが「H-1Bビザ」のことだ。
H-1Bビザは2016年度まで30万人前後(延長含む)に認められてきたが、17年度は申請者の減少もあって20万人程度にとどまるとみられている。申請は国を挙げてIT産業の育成を進めているインドからが多く、米国土安全保障省・市民権移民局によると、取得者の約7割がインド人だ。
「顧客にはインド人が多いが、(更新が認められなければ)最終的には本国に戻らざるを得なくなる人も出てくる」と話すのは、東部メリーランド州で移民問題を専門とするアレクサンドラ・ミカイロフ弁護士。
ビザ申請をめぐる相談が増えているというミカイロフさんは、「(トランプ政権になってから)ビザ申請手続きは非常に難しくなった。当局は以前は必要としなかったさまざまな情報を求めるようになり、更新申請でもオバマ前政権までは前回情報を確認するだけだったのが、今では全てを綿密に調べ直している。過去にビザが出たかどうかは関係なくなっている」と、ビザ発給の現状を説明する。
外国人技術者の立場の弱さを指摘する声は経営側からも出る。シリコンバレーにあるベンチャー企業のインド出身幹部は「H-1Bビザの人、特にグリーンカード(永住権)を申請中の労働者は、実質的に(企業との)契約にしばられている」としたうえで、「何らかの理由で雇用が終わると、短期間で同様の仕事を探すか、国を去るしかない」と話す。
厳しさを増す現状に、技術者の脱米国志向も表れ始めた。IT企業求人サイト「ハイアード」の調査によると、トランプ政権となってから技術者の4割が米国を去ることを考え、そのうち32%が移住先としてカナダを希望しているという。
ナラインさんは、次にH-1Bビザの期限が切れる際にはグリーンカードを申請するつもりだ。「もしだめなら、米国市民権を持つ女性と結婚するよ」と冗談めかして話すが、不安は隠しきれない。
「これまで米国のIT産業を支えてきたのは海外からの技術者たち。このままだと、彼らは米国を去って中国やイスラエルなどへ行くだろう。そうなると米国はこの分野で世界一ではなくなってしまう」と訴え、こう言葉を続けた。
「やっぱり米国に居続けたいよ。ここが好きなんだ。より多くの機会、イノベーションがあるんだもの」産経ニュースより
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