2018年4月26日木曜日

駐韓大使に“タカ派”投入、韓国への「お目付け役」人事

南北首脳会談(27日)を目前に控え、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が融和ムード演出に大はしゃぎしている。北朝鮮向けの宣伝放送の中止や、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とのホットライン開設だけでなく、休戦状態にある敵国の首領(ドン)に歓迎夕食会まで用意したのだ。

世界各国が、北朝鮮の非核化姿勢に不信感を高めるなか、「従北」文政権の暴走は止まりそうにない。ドナルド・トランプ米政権は「警告」のためか、空席の駐韓大使に、米海軍屈指の“タカ派”として知られるハリー・ハリス米太平洋軍司令官(海軍大将)を指名する方針を固めたことが24日、分かった

青瓦台(韓国大統領府)は24日、会談当日の夕食会のメニューを発表した。平壌(ピョンヤン)の有名店の冷麺や、正恩氏がかつて留学していたスイスの伝統的ジャガイモ料理をアレンジした料理と、正恩氏に“忖度(そんたく)”した内容となっている。

聯合ニュースによると、正恩氏は27日、南北軍事境界線を歩いて越えて、文氏と対面した後、会場である板門店(パンムンジョム)の韓国側施設「平和の家」に移動するとみられている。当日は公式歓迎式も予定され、同ニュースは「正恩氏を国賓に準ずる礼遇で迎える見通し」と伝えている。

文政権の、南北首脳会談への興奮・執着ぶりは突出している。文氏と正恩氏をつなぐホットラインを設け、軍事境界線付近で、拡声器で流してきた宣伝放送を中断した。

韓国メディアによると、文氏は19日、主要メディアの社長らを青瓦台に招き、「北朝鮮は今、国際社会に完全な非核化の意思を表明しており、われわれに積極的な対話の意向を示している」と述べたという。

だが、その認識が甘かったことは、北朝鮮の言動が示している。

北朝鮮は21日、国営メディアを通じ、核実験とICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験の中止、核実験場廃棄の意向を表明した。当初、非核化への動きのように映ったが、正恩氏は「完結した」とする核兵器の廃棄には一切言及しなかった。

米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は23日、北朝鮮が閉鎖を発表した核実験場について、「完全に稼働している」との分析を発表した。国際社会では「正恩氏は、核保有国の立場を宣言したのでは」という見方が広がっていたが、その懸念を裏付ける動きといえる。

ドナルド・トランプ米大統領は24日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と会談し、「非核化実現まで最大限の圧力をかけ続ける方針」を強調した。共同記者会見では「安易な合意内容で勝利宣言するのは簡単だが、そんなことはしたくない。彼ら(北朝鮮)には核兵器を取り除いてほしい」と述べた。

北朝鮮に加え、トランプ政権は「従北」の韓国にも不信感を抱いているようだ。

昨年1月から空席となっている駐韓大使について、ハリス太平洋軍司令官を指名する意向を固めたとロイター通信が24日に報じた。ハリス氏は2月に駐オーストラリア大使に指名されていたが、次期国務長官に指名されているマイク・ポンペオCIA(中央情報局)長官が、駐韓大使就任を要請したという。

日本人を母に持ち、米海軍屈指の“タカ派”として知られたハリス氏を駐韓大使とすることで、北朝鮮におもねるばかりの韓国への「お目付け役」「日韓のパイプ役」を期待した人事のように映る。

世界の平和と安定のために、北朝鮮の「完全非核化」を最優先させる国際社会と、韓国の認識のズレは、どこから来ているのか。

朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「北朝鮮は制裁で追い詰められて、『親北派』の文政権を利用して制裁破りや米国と話をつけようと、今年初めに方向転換した。ところが、文氏は舞い上がって、一番重要な『非核化』から目がそれている。韓国マスコミも追従しているため、国内では『今こそ統一だ』というお祭り騒ぎになっている」と指摘する。

韓国が現実認識力を失っているとするならば、南北首脳会談は平和につながるどころか、北朝鮮を一方的に利する結果になりかねない。

松木氏は「南北首脳会談では『平和条約を締結しよう』という話になる可能性がある。その先にあるのは、南北の緩やかな統一で、最後には『赤化統一国家』ができる恐れがある。そうなると38度線が朝鮮海峡、あるいは対馬海峡に下りてくる。日本は米国との関係を強めて対抗しないといけない」と話した。夕刊フジより

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